AKAMINE BLOG

メンズファッションディレクター 赤峰 幸生のBLOGです。

2009年03月24日(火)

OCEANS 5月号連載 AKAMINE STYLE 目覚めよ、日本の男たち! [OCEANS掲載記事]

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マエストロ赤峰の「オトナ相談室」
仕事、家庭、子育て、そして愛・・・・・・などなど。
30〜40代のオーシャンズ世代にもなれば、少なからず何かしら悩みのタネは持っているもの。
そんな皆さまの“駆け込み寺”として開設されたのが、このオトナ相談室。
皆さんの質問にお答えするのは、“人生のマエストロ”こと赤峰幸生氏。
今月も痛快なご意見で迷えるオーシャンズ読者に救いの手を差し伸べてくれるハズ!
では皆さん、ご一緒に! 教えてっ、マエストロ!


今月のテーマ
“悩み力”

[今月の質問]
赤峰さん、初めまして。いつもこの連載を楽しんで読ませていただいています。実は今回、私も迷いがあってペンを執らせていただきました。その悩みというのは、やはり自分が勤めている会社のことです。社員数約300名の車の部品メーカーなんですが、最近、不況の煽りを受けて、月給の額が激減してしまいました。正直、上司もいい方ばかりだし、仕事のやりがいはあります。赤峰さんも「金だけで仕事を選ぶな」と以前おっしゃっていました。ただ、私は今31歳で、これから結婚もしたいし、車だって欲しい。贅沢は言いませんが、人並みの生活はしたいと思っています。ですので、転職すべきか副業すべきか、最近そんなことばかり悩んでいます。(31歳・愛知県在住・K.M.さん)

 

Q.トホホ、最近暗い話ばっかり!どうせ現実は変わらない!悩んでばかりいないで、悩みなんていっそ忘れましょう!悩むだけソンソン♪ねっ、マエストロっ!
 ばっか野郎!!このおたんこナスが!今月もいきなりぶっ飛ばしてきやがったな。お前のような脳内常夏野郎のために今一度言うが、この度の不況は1945年の戦後の恐慌と同レベルのものだ。言っておくが、「恐慌」と「不景気」は違うぞ!
 恐慌とは、需要の急速な低下や物価の下落、企業倒産、失業が急激かつ大規模に生じ、一時的に経済活動全体が麻痺することだ。つまり、今この時代は文字どおり経済における「パニック状態」なのだ。
 この状態の恐ろしさは、先がまったく読めないことにある。我々はビジネスを行うとき、ともかく予算を立てるだろう。いくら仕入れて、いくら売り上げが見込めるか・・・・それは多くの場合、前年比やこれまでのデータの積み重ねから立てていく。しかし、その基準が無意味化するのが恐慌だ。気分転換して悩みを棚に上げ、あわよくば忘れ去る、では済まされない。それでは、単なる問題の先送りにほかならない。現に今回の投稿者のように、具体的に生活に影響が表れている。だから、こういった手紙が増えているのだ。

Q.ひゃ〜、じゃあなんとかしないと!やっぱり流行りの副業なんかを始めないとヤバいっすよ!
 てめぇ、このうすらとんかちが!毎度毎度、安直なものの考え方をする野郎だっ。副業したい奴はすればいいだろう。が、私は「原点に戻る」ということをこの読者に伝えたい。原点に戻るということは、すなわちすべてをゼロに戻す、ということだ。それにはまず、自分の年収の額は誰が決めているのかを考えることだ。
 よく若い男の中に、自分よりできない奴がほかの会社でいい給料をもらっている、といった愚痴を口にする奴がいる。しかし、そいつがその「多い、少ない」を決める基準は何だ?そもそも自分がもらっている額は多いのか、少ないのか、それを判断する材料とは、誤った基準にすぎなかったと心得よ。会社が持っていた基準、周囲と比較しての基準・・・・いろいろあるが、その基準のほとんどが今、幻となりつつある。今回の投稿者の言う「人並みの生活」という基準も消え失せたのだ。つまり、当たり前だと思っていたことを、改めて見直す必要が生じてきたのである。

Q.た、確かに今まで持っていた収入への価値基準って、なんとなく・・・・でした!じゃあ、マエストロ!いったいどう生活すれば?
 これまでの生活を見直し、シンプルに削ぎ落としていくことだ。例えば、私はよく周囲から、たくさん服を持っていると思われる。しかし、実際にクローゼットを見せると、その少なさに驚かれる。そう、私はこんなときいつも思う、豊かさと男のお洒落は、金品の多寡にあらずと。
 私は何年かに一度、スーツを仕立てるが、その際は飛びっ切りいい生地を使う。いい生地といっても、薄く滑るような生地ではない。打ち込みのしっかりした味わいのある生地で、仕立ても色も流行に左右されないシックなものを選ぶ。こんなスーツを何十年もかけて着続ける。服に限らず、このような私のスタイルは生活全般に通ずる。
 こんな価値観を私が持ったのは、父の影響もある。学者だった父の生き方は、質素そのものだった。印象的なのは幼少のころ、父がいない間に書斎に忍び込み、たくさんあった鉛筆の中から、小さくなった鉛筆を勝手に持ち出したことがある。が、父は帰ってくるなり、即座にその鉛筆がなくなったことに気付いた。もちろん、こっぴどく叱られたよ。父の洋服はいいものを仕立てていたが、控えめな色やデザインのものばかりだった。10年以上着続けるためにだ。そんな姿を見て、子供ながらにある種の格好よさを感じた。英国には、万事控えめを美徳とする“アンダーステイトメント”の美学があるが、あれは長く使うという英国流の質素にも通じる。
 私は常に必要最低限のものを見極め、自分のワードロープを管理している。過剰なもの、必要以上に華美なものは、私のクローゼットにはない。必要に応じて、長く着られるものだけを買う。すると、時代がどうなろうが、自分のスタイルが貫ける。
 

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(→)マエストロの言葉にもあった「恐慌」。頂の見えない“急な坂”をトボトボと上り続けているような、このやるせない感覚。いやぁ、まったく暗い世の中ですな。・・・・・なーんてうつむきながら歩いていたら、その“急な坂”を信じられないようなスピードで駆け上がる男性がいるではありませんか!しかも、あれは間違えなくママチャリ!!そうです!その男性とは、何を隠そう我らがマエストロ!上り坂をものともせず、涼しい顔!?で駆け抜けるマエストロ。我々もマエストロのように、上を向いてしっかり悩み、前進しようではありませんか!

Q.いやぁ、なるほど〜。でも、現状の生活レベルは守りたい!友人の目だってありますし・・・・
 お前はなんてしょっぺぇ野郎だっ!!薄っぺらい価値観の男だ。そんな考え方をしていると、見栄を張るために借金を重ね、いつか身を滅ぼすことになる。世の中に勝ち組・負け組という言葉があるが、私は大嫌いだ。第一その勝敗の基準はなんだ?
 前回も言ったが、ワケのわからんトレンディドラマに出てくるようなマンションに住み、高級車に乗ってる奴が勝ちなのか。そんな無責任かつ適当極まる価値観などまったくもってくだらん!トルストイはいみじくも書いている。「幸福な家庭はみな似通っているが、不幸な家庭は不幸の相も実にさまざまだ」。日本人はただでさえ行列を好む性質だ。だが、そんなふうに他者と同じ状態でいることを幸福や人並みと考えるから、自分が恵まれない、と思うのだ。不幸のほとんどは比較から始まるが、その基準が金品だけのものなら、幸か不幸かを考えること自体が実にばかばかしい。
 私は28歳で己の才覚を世に試そうと会社を飛び出した。アパレルの会社を立ち上げ、不眠不休で働いた。ハイエースに服を詰め込んで、全国の小売店に持ち込んでいた。横浜から静岡、京都、和歌山、岡山、車中泊を繰り返しながら全国を巡った。夜は工場を開けてもらって生地を仕入れるんだが、暗闇の中、ライターの明かりで生地を選んだ経験は忘れることができない。
 ちょうどそのころ、私は己にある戒律を設けた。それは、「見栄を張らない」ということだ。その後、徐々に会社は大きくなったが、その戒律だけは守ってきた。バブルの時も派手なことは一切せず、逆に質素に徹底した。だから、その後、同業他社が倒産していったなかでも、生き残ることができたのだと確信している。それに今だって、20代でやっていたことと同じことをしなければならなくなったら、私は明日からだってできる。自分らしく生きるために必要なものは身の回りに揃っている。借金だって、一銭たりともない。つまり、私は自由なのだ。それにそんな私の姿を笑う周囲の人間もいないからな。この読者に私は言いたい。「自分の生活に無駄や見栄はないか」と。そして彼の言う「人並みの生活」とは何かと。それで生活ができるなら、転職や副業などは考えずに、今の仕事を大切にしてほしい。
 そもそも最近、金銭面の理由で今の仕事に迷いや悩みを持っている輩が多すぎる。もちろん、私だって昔は同じような悩みを持ったことがあった。そんなとき、恩師がある言葉をくれた。「赤峰よ、20代はアリになれ。30代はトンボになれ。40代になったら仕事をしろ」と。20代はアリのように地面を這い回り、仕事の基礎を覚え、足腰を鍛える。そして30代はトンボのように飛び、広い視野という複眼で世の中のあり方を見つめる。それができれば、40代で本物の仕事ができるというのだ。
 世の中ではIT長者や株で儲けた“にわか成金”の華やかな生活がよく取り上げられるが、そんなものに影響を受けるのは愚の骨頂だ。最後に残るのは、自分で考え、自分のスタイルを貫いた本物だけだ。服で言うならば、50年を超えても愛されるヴィンテージというところか。そんな味のある男になれるよう、悩みから目をそらさず、時代をとことん悩み抜け!そうやって、悩み抜いた者が最後には笑う、私はそう確信をもって言いたい。
 
 

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−近ごろのマエストロ−
先日、英国に足を運んだときのこと。ある雨の日の夕刻、コロンビ(コート地の名門店)で生地を物色していたら、店に入ってきた白髪の紳士に声をかけられた。「あなたは私を知らないが、私はあなたをよく知っている」。名をマイケル・オールデン氏という。年のころは60前後であろうか。彼はヴィンテージの生地をモチーフに自ら生地を作っているという。2日後、パリのホテルで再会する約束をした。そのとき、彼の生地を見せてもらったのだが、まさに目から鱗が落ちる出来栄えであった。柔らかくてコシがあり、色も品がよく申し分ない。そして何より、彼のインテリジェンス、ものに対する考え方が滲み出ていた。久々に出会えた“ア・ファット・ア・マーノ(手仕事)”な思考の持ち主だった。我々は意気投合し、彼は初夏に日本にやって来ることになった。仕事となるかは別にして、こんな人間と出会えるから、仕事はやめられない。改めてそう思った。
 

■皆さんからの質問待ってます!
仕事から家庭、恋愛、そしてファッションetc.・・・・・・、日ごろ読者の皆さんが抱える悩み、疑問など、相談したいことを何でも教えてください。マエストロ赤峰がズバッと解決いたします!インターネットの場合は[ www.oceans-ilm.com ]へアクセスのうえ、「NEWS」から投稿してください。郵送の場合はハガキに @相談したいこと A氏名(ふりがな) B住所 C年齢 D職業 E電話番号 Fメールアドレス Gオトナ相談室への感想 を明記し、〒162-0825東京都新宿区神楽坂6-42 オーシャンズ編集部「オトナ相談室」係まで。

Posted by インコントロ STAFF at 00時00分   コメント ( 0 )

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