AKAMINE BLOG

メンズファッションディレクター 赤峰 幸生のBLOGです。

2013年11月06日(水)

MEN'S EX 2013年12月号 赤峰幸生の「服育のすゝめ」 vol. 12 [MEN'S EX 掲載記事]

第四章 自分の定番≠作ろう そのB
『フォックスブラザーズのフラノ』


ロンドン北西のウェリントンという街に、フォックス ブラザーズというミルがあります。スーツ好きの方にはお馴染みの名前でしょう。グレーフランネルにおいては右に出るものなしという名門。年間通してグレーのスーツを愛用する私にとって、同社のフラノは大定番です。

1772年、第一次産業革命の真っ只中、フォックスは誕生しました。トップ糸から紡がれるグレー杢のミックス感は、白と黒の繊維の調合が絶妙なうえ、極秘のフィニッシングが施されていて誰にも真似ができません。イタリアのミルが何度も挑戦しては諦めたという、伝説のフランネルを今も頑なに作り続けています。

フレッド・アステアやケーリー・グラント、チャーチルも愛したそのグレーフランネル。ヒッチコック映画にも必ずといっていいほど、フォックスの特徴あるグレーフランネルが登場します。ロンドンやパリのテーラー、イタリアのサルトも一目置く格。伝説のサルト、カラチェニも、私が絶大の信頼を置くアントニオ・リヴェラーノもフォックスのフランネルをとても大切に扱っています。

ダービー観戦時、貴族たちが着用したグレーフランネル。そんなクラススポーツにルーツを持つだけに上品な風格が備わっており、しっとりと落ち着いた微起毛地に温かい空気が纏いつくので、暖かく着ることができます。

一般には紡毛ですが、じつはフォックスのフランネルは梳毛糸を織り込んで毛羽を立たせています。クリアでドライなタッチなので、パンツにも使うことが可能です。100%ウールにこだわっているので、上質なウール糸を4プライにして毛羽を掻きます。お値段は張りますが、他社では絶対に真似できないしっかりとした生地が仕上がります。

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伊生地にはない英国生地の魅力、フォックス フランネルと私

私のフォックスは目付け600g/u。15年着ていますが、いまだに生地がへたりません。しっかりと腰が強く、芯があります。イタリア製のフラノなら朝着て、夕方にはもう膝が抜けてしまいます。

じつは日本で最初にフォックスに先鞭をつけたのは私なのです。歴史の本で知ったフォックスフランネルを、日本の商社に依頼して取り寄せたのは私が自由が丘でウェイアウトというブランドを立ち上げた28歳の頃でした、以来35年以上の間に、ほかの海外ミル同様、社長は何人も変わりました。現社長ダグラス氏は元ラルフ ローレンのテキスタイルディレクター。気が合う親しい友人の一人です。

以前にもお伝えしていますが、私は服をブランドやディテールで選ぶことはしません。その代わり、素材には徹底的にこだわります。素材は服の柱、白飯と同じだからです。自分の定番の素材をしっかり定めて、それを長く愛用し続けることによって、自分ならではのスタイル≠ェ築かれるのです。それさえ確立すれば、流行に踊らされて消費的な買い物をし続ける必要はありません。確固たるスタイルこそ、時代を超越する真のお洒落≠ノ必要なものなのです。

Posted by インコントロ STAFF at 10時33分 Permalink  コメント ( 0 )

2013年10月07日(月)

赤峰幸生の服育のすゝめ vol.11 [MEN'S EX 掲載記事]

服の原点・素材を見直す

ようやく暑さも和らいだ9月下旬、英国羊毛の産地スコットランドへ機屋(はたや)を巡る旅に出ました。アカミネロイヤルラインのオリジナル生地を注文するためです。

原料となる羊毛を選び、ブレンドを決めたら糸の番手を決定します。経糸(たていと)・緯糸(よこいと)の本数を検討して打ち込みを決め、仕上がりを待つ間にどんな目付けの生地が上がってくるか思いを馳せます。経験則を超える出来栄えのときもあれば、思ったように仕上がらないことも。しかし、これぞ服作りに携わる者の醍醐味。出来合いの生地を買い入れるだけでは、決して味わえない悦びがここにあります。

服を仕立てるだけでなく、素材作りから携われるのは服屋の特権。出来合いの定食メニューをただ食すのではなく、食材の仕入れから携わるシェフの悦びに通じるところがあるように思います。

グレーシャークスキンとネイビーバスケット

「真の洒落者は、流行に左右されない自分の定番≠持つべきである」と先月お話しいたしました。今月もその続きなのですが、今回は洋服そのものの話ではなく、その材料である素材について。ご紹介したいのは、グレーのシャークスキンとネイビーのバスケット生地です。

シャークスキンとは文字通り鮫肌のように鈍色の光沢を持つグレー生地です。私のシャークは、ドーメルのもので数年にわたり着込んだので光沢が落ち着き、とても良い風合いになってきました。欧米でグレーは、フォーマルな席でも着られる公共性が高い色とされます。グレーシャークはその風合いから、完全な無地よりも洒落た印象もあり、ビジネスから休日まで汎用性高く着られます。シャツ、タイ、靴の色も問わない懐深い生地です。

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ネイビーバスケットにはスポーティな表面感があります。平日の出勤から休日まで出番が多々あり、仕立ててからもう15年ほどになるでしょうか。いまもくたらずしっかりとしたハリとコシがあるのは、目付け380g/uを超える打ち込みの良い英国生地だからでしょう。

服地は着込むほどに着る人を語ります

私にとってグレーシャークもネイビーバスケットも、間違いなく私の定番と呼ぶに相応しい。登場回数の多い、いつもお世話になっている服地。長期にわたり所有し着用頻度が高いことは、即ち愛すべきマスターピースということです。

私は洋服のブランドや些末なディテールなどは気に留めません。しかし、素材には並々ならぬこだわりがあります。耐用年数は?タイとシャツはどんな色が似あうだろうか?着回し力があるだろうか?10年後、生地が傷んだら、また同じ素材で作りたいと思うだろうか。

そんな条件をすべてクリアしてきたのが、先の2つの生地でした。時代を超える普遍性を持つ素材を着続けることで、やがて服がその人自身を語りだします。素材は単なる色柄ではありません。素材は、着る人のその人らしさ≠そのまま物語るものなのです。

今月の総括

自分の素材≠持つ。
それがその人の確固たるスタイルを確立してくれる。

Posted by インコントロ STAFF at 09時00分 Permalink  コメント ( 0 )

2013年09月12日(木)

MEN'S EX 2013年10月号 赤峰幸生の「服育のすゝめ」 vol. 10 [MEN'S EX 掲載記事]

自分の定番≠作ろう その@

『リヴェラーノ&リヴェラーノ』

消費的なファッションから真の洒落者は生まれない

仕事柄、世界各地で多くの洒落者を目にする機会がありますが、彼らには共通する点があります。それは、確固たる自分のスタイルを持っているということ。誰かの家を訪ねたとき、その人の生活が染み込んだ、その家ならではの匂いを感じるように、着こなしからその人ならではの匂いが薫る。そんな装いを見ると「こいつ、ヤリな」と思ってしまいます。

自分のスタイルを確立する方法。それは、これと決めた自分の定番アイテムを、ある程度長く着続けていくことです。すると、服が自分に一体化して着こなせる≠謔、になります。そして、自分ならでのスタイルが培われていくのです。

トレンドを追い求めるあまり、消費的なファッションの陥っていないでしょうか。それでは、自分のスタイルを築くことはできません。自分の定番を持っている人は、流行に振り回されるのではなく、自分の定番を軸として、そこに流行を調味料のように加えます。そのため、時代遅れに映ることもないのです。そんな自分の定番≠作るためのご参考に、私が愛する定番をご紹介しましょう。

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初回の赤峰的定番は、フィレンツェのサルト、リヴェラーノ&リヴェラーノのスーツ。現オーナーのアントニオとは30年来の友人で、今では家族ぐるみの付き合い。もちろん他のサルトとも交流を持っていますが、リヴェラーノは行きつけとしてとりわけ懇意にしています。今まで何着もス ミズーラしましたが、それらはすべて私の定番品。10年、15年前に作った服もいまだに来ています。

私がなぜリヴェラーノにこだわるのか。……その理由を説明するのは、実は少々難しいことです。特徴的なディテールはいくつかありますが、私にとってそれらは、リヴェラーノにこだわる最大の理由にはなりません。強いて言うなれば、アントニオとの信頼関係。これが一番の理由です。注文服においては、作り手との意思疎通が最も重要。互いの好みと美意識を理解し、共感してこそ、満足のいく一着が生まれるのです。アントニオは私の最も良き理解者のひとり。生地から仕立ての好みまで、完全に把握しています。私が彼を訪ねると、彼は店の奥から、他の客には出さないような、目付けのある重厚な生地を出してきます。生地に対する私のこだわりとして、横糸の密度が高いヘビーウェイトのものを選ぶ、というものがあります。10年、20年と長く着るためには、耐久性が重要だからです。よって私のスーツはもっぱら、英国生地や自分で企画した日本生地で仕立てられたものるその重厚な生地を使いつつ、仕立ては柔らかく。これが私のこだわりなのです。アントニオはそんな私の好みを重々知っているからこそ、とっておきの生地を出してくれるのです。

「クラシックはひとつ」とアントニオはいつも語ります。数多くのサルトをとっかえひっかえするのではなく、軸足をひとつに置くべしという意味です。こんな考え方も大いに賛同するところ。私のクラシックスタイルを体現する一着が、リヴェラーノのスーツなのです。

今月の総括

長く愛用する自分の定番を持てば、流行を超えたスタイルを築ける

Posted by インコントロ STAFF at 10時09分 Permalink  コメント ( 0 )

2013年08月05日(月)

MEN'S EX 2013年9月号 赤峰幸生の「服育のすゝめ」 vol. 9 [MEN'S EX 掲載記事]

TPO別粋≠ネ装いそのB
『休日スタイル、どう装う?』

今回のテーマは「カジュアル」。といいつつ、「カジュアル」という言葉があまり好きではありません。私にとって、装いの根幹にあるのはドレスアップ。それを寛いだシーンに相応しくアレンジしたものが休日着なのであって、「カジュアル」という独立したスタイルがあるわけではないのです。たとえポロシャツにジーンズといった休日の典型的スタイルでさえ、ドレスマインドで着こなせば大人らしいエレガンスが漂います。それこそ、大人の粋≠ネ休日の装いといえるでしょう。これが、私が声を大にしてお伝えした装いの基本姿勢です。

赤峰流の休日スタイルはラコステなしには語れない

さて、そのようなドレスマインドで装う休日着♀礎を私の中に形作ったのは、若い頃に観た往年のヨーロッパ映画です。『太陽がいっぱい』『8 1/2』『太陽の下の18歳』・1960年代に公開された映画のなかには、海辺のリゾート地でひと夏を過ごすフランスやイタリアの人々の粋な装いを見ることができます。ヨーロッパの服装文化には、エレガンスにあふれたドレスマインドが息づいているのです。ですから私の休日スタイルは、ヨーロッパ流のリラックススタイルと言い換えて差支えありません。

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そんなヨーロッパ流の休日着において、基本中の基本といえるのがラコステのポロシャツです。たとえばイタリアなどを歩いていると、洒落者のポロシャツは必ずといっていいほどラコステ。もちろん他ブランドのポロシャツも認知されているのですが、それでも皆こぞってラコステを選んでいるのです。というわけで、私にとってもポロシャツといえばラコステ。定番色から赤や黄色など色鮮やかなもの、海外製のメランジカラーなど、数え切れないほど所有していますが、今回は大人の品を表現するものとして、リブの長袖をおすすめしておきます。基本の着方は、袖を少しまくりあげて着る装い。長袖のポロを一枚で着るなら、襟ボタンを全部留めてお坊ちゃん≠ネ雰囲気で着るのも面白いでしょう。パンツはオフ白の5ポケット。それに足元はエスパドリーユ、もしくはスペルガなどクラシックスニーカーというが、私の定番的な着方です。ビーチサイドのリゾートシーンならパンツを水着に替えて、ジャケットを羽織る装いもエレガントで気に入っています。

アメカジなスタイルは苦手なのですが……

ドレスマインドを根幹とするヨーロッパスタイルの対極にあるのは、アメリカ流のカジュアルスタイル。これはどうにも苦手です。Tシャツやアロハなど、アメカジ的なアイテムは全く着ません。ただお断りしておきたいのは、アメリカ服そのものが嫌いというわけではないということ。リーバイス、リー、コンバースなどは大好きなブランドです。それらをヨーロッパ的目線で着るところに、休日の粋≠感じるのです。

Posted by インコントロ STAFF at 12時23分 Permalink  コメント ( 0 )

2013年07月08日(月)

MEN'S EX 2013年8月号 赤峰幸生の「服育のすゝめ」 vol. 8 [MEN'S EX 掲載記事]

TPO別"粋"な装いそのA

『パーティースタイルの正しい装い方』


ハレの場の“粋”は飾り立てることにあらず

今回のテーマはパーティでの装い。男は年齢を重ねるほどに、社交の場に出る機会が増えるものです。特に夏場はレセプションやカクテルパーティが開かれる機会も多く、私も毎週のように多くの席に招かれます。フォーマルなものからカジュアルなものまで様々ありますが、華やかにドレスアップする場面こそ、各人の内面から滲み出るエレガンス、すなわち“粋”なセンスの差が如実に感じられるものです。特にさじ加減が難しいのは、いわゆる「スマートカジュアル」に属するような比較的自由度の高いドレスコードのとき。パーティシーンでは、その場に相応しく「華やかに装うことを楽しもう」というマインドが基幹になります。ですがそれを、あからさまに飾り立ててコスプレのように奇抜な服装をすることと取り違えてはいけません。“粋”な装いとは、あくまでも正統に基づいたもの。しかし、ビジネススーツとなんら変わりない堅苦しい服装でその場に臨むのは言うまでもなく野暮というものです。

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夏の基本・リネンスーツを小物でドレスアップする

では、具体的にはどう装うべきか。ご参考までに、私のパーティスタイルの一例をご紹介しましょう。

私にとって、夏のドレスクロージングの大基本となるのはリネンスーツ。これは前回、『盛夏のビジネススタイル』で述べたとおり、正統的なサマースーツのひとつです。そのリネンスーツを、パーティシーンに相応しくドレスアップするのに用いるのが、バタフライ(蝶ネクタイ)です。私はシャルベによるシルク生地のものを好んで締めていますが、きっちりとドレスアップをしつつ、華やかで楽しげな雰囲気を出すにはもってこいのアイテムなのです。ベージュのリネンスーツに合わせるなら、色は同系色の茶。派手すぎるのはいけません。また、シャツもフォーマルで用いるようなピケ地の白無地を選ぶと、いっそう格調高く装えるでしょう。さらに、袖はダブルカフを選んで、カフリンクスを効かせます。私のお気に入りは茶色いメノウがあしらわれたもので、タイと色みを揃えて用いています。靴は少し明るめの茶を。堅苦しくならず砕けすぎないことを意識すると、内羽根のセミブローグあたりがちょうどいいところでしょう。このように、季節に応じたベーシックな装いを基調にしつつ、それをいかにドレスアップして、華やかな場と一体になるかが重要なのです。

派手さはなくとも華麗な着こなし。場の空気を楽しくさせる、そんなマインドが現れた装いこそ、真の“粋”を感じさせるもの。私がかつてお手本としていたのは、『太陽の下の18歳』『8 1/2』といった名作映画。これらの作品の中にも、ドレスアップした登場人物たちが集うシーンを見ることができ、正統でエレガントなパーティスタイルとはどのようなものかを大いに学ぶことができます。未見の方は是非ご参考に。

Posted by インコントロ STAFF at 18時19分 Permalink  コメント ( 0 )

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赤峰 幸生 (あかみね ゆきお)

● イタリア語で「出会い」の意のインコントロは、大手百貨店やセレクトショップ、海外テキスタイルメーカーなどの企業戦略やコンセプトワークのコンサルティングを行う。2007年秋冬からは『真のドレスを求めたい男たちへ』をテーマにした自作ブランド「Akamine Royal Line」の服作りを通じて質実のある真の男のダンディズムを追及。平行して、(財)ファッション人材育成機構設立メンバー、繊研新聞や朝日新聞などへの執筆活動も行う。国際的な感覚を持ちながら、日本のトラディショナルが分かるディレクター兼デザイナーとして世界を舞台に活躍。 Men’s Ex、OCEANSに連載。MONOCLE(www.monocle.com)、MONSIEUR(www.monsieur.fr)へも一部掲載中。

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