AKAMINE BLOG

メンズファッションディレクター 赤峰 幸生のBLOGです。

2007年03月06日(火)

MEN'S EX 4月号 菊池武夫と赤峰幸生の Be Buffalo Forever! vol.11 [MEN'S EX 掲載記事]

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菊池武夫さんと赤峰幸生さん。
ファッション界の2人の巨匠が毎回テーマを決め、それに基づいてファッションを披露し語り合う、夢の対談連載。

「今月のテーマ」
お気に入りのドレスシューズ

今回のテーマは読者の皆様に昔から根強い人気がある「靴」。ファッション界の両巨匠が語ってくれた思い出の靴は、菊池さんが「英国靴のチャーチ」、赤峰さんが「往年のアメリカ靴」という展開になりました。ちなみに、今気になっている靴はお2人ともエスパドリーユとか。その話の内容やいかに?

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■(写真右)赤峰幸生氏
・シャルベのシャツ
・アカミネロイヤルラインのタイ
・アイリッシュリネンカンパニーのチーフ
・アカミネロイヤルラインの綿ギャバスーツ
・ストール マンテラッシのスリッポン
 




■(写真左)菊池武夫氏
・グレースのジャージ素材キャスケット
・フェルラのシルクを渡して作ってもらったベルヴェストのジャケット
・フェイヴァーブルックのドクロ柄シルクストール
・Gスターのジーンズ
・ジョンストン&マーフィーのウイングチップ



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20代の頃、菊池さんはずっと英国靴の良心と謳われたチャーチを、赤峰さんは往年のアメリカ靴を、それぞれ履いていたそうで、その頃の話で盛り上がっていました。

■菊池さんはチャーチ、赤峰さんはアメリカ靴
菊池  お洒落を本当に意識しはじめたのは18歳くらいで、それまでも意識していましたけど、変な格好していましたから。下駄履いたりとかね。18歳になってからきちんとしはじめたんですけど、当時はチャッカブーツが好きでした。細いパンツにチャッカブーツを合わせてっていう感じ。ただ、革靴は子供の頃からずっと履いていました。今と違って、スニーカーなんか逆にない時代でしたから。赤峰さんが意識し出したのはいつ頃ですか?
赤峰  やっぱり高校生、17歳くらいですかね。僕もハイカットのチャッカブーツが好きでした。「ウエスト・サイド物語」という映画があって、(注1)ジョージ・チャキリスとか、ああいう連中がブーツっぽい靴を履いていたのに影響を受けまして。意識しはじめたのは、多分その頃からですね。菊池さんは思い入れの強い靴ってありますか?
菊池  僕の場合は、なんといってもチャーチです。
赤峰  ほーっ、何歳のときですか?
菊池  20代半ばから30代後半まで。かなり長い間、ずっとチャーチばかりを履いていました。
赤峰  相当早いですよね。
菊池  早かったと思います。一時期、室内履きまでチャーチで揃えて、家の中でも履いていました。いわゆるビロードのスリッパです。
赤峰  どこが好きだったんですか?
菊池  ゴツいところです(笑)。形はベーシックじゃないですか。で、革底なのにゴツい。コバがしっかり張っていますよね。その張った感じが男らしくて好きだったんです。それ以来、僕の靴はゴツいやつばかりになってしまって。ただ、'70年代にベーシックなものを全部やめてしまった時期があるんですよ。ベルボトムパンツはいて、手作りの一枚革で作った変なモカシンみたいなのとか、オランダのサボの変形みたいなのとか、そういうのばかりを履いていて。そのときは、チャーチはほとんど履きませんでした。
赤峰  僕は渋谷が本拠地だったじゃないですか。昔の恋文横丁に「サカエヤ」っていう、いわゆる米軍の流れもののお店があって、アメリカの靴が売っていまして。あそこにあった靴には憧れましたね。その後、初めてニューヨークに行ったとき、ブルックスブラザーズでコードバンのローファーを目にして。今から40年近く前ですけど、やっぱり感動しました。とにかく高かったですけど・・・・・。
菊池  実際に買われたんですか?
赤峰  もちろん、買いました。ただ、手入れが悪かったものだから、コードバンがダメになってしまいまして。
菊池  もったいないですね。やっぱり赤峰さんの根底にあるのはアメリカの靴なんですか?
赤峰  そうですね。最初に出会ったのがアメリカの靴でしたから。(注2)バスのスポートカシンっていう5アイレットの型押しシューズとか(注3)ウォークオーバーとか。フローシャイム、ボストニアンとか、あの辺です。
菊池  ありましたよね。どれも懐かしい名前ばかりです(笑)。
赤峰  あの頃はアメリカの靴に憧れていて、'60年代から'70年代にかけてのアメリカの靴はだいたいひと通り履きました。イタリアのようなキザな靴は履きたくない、みたいなのがありましたからね。あとはフランスのジェイエムウエストンの対抗馬だったジャン バディなんかも好きでした。不思議と、紐靴よりはスリッポンが多かったかな。菊池さんが浮気をせずにずっとチャーチだったのとは対照的です。
菊池  そうですね。どっちかというと、普通のちゃんとした靴はチャーチで済ませてしまったというか。フローシャイムとかも履きましたけど、あまり記憶に残ってないんですよね。
赤峰  昔のチャーチはいいですもんね。最近の靴って、特にイタリアの靴とかって、表現が大げさすぎるものが目につくんですよね。
菊池  やっぱり今の靴ってデフォルメされすぎているから、ときどき恥ずかしい。若い人にはいいですけどね。実態とそぐわないようなカタチをしている靴もけっこうありますから。
赤峰  無理やりロングノーズにしてるというか。同じロングノーズの靴でも、故意にそうするんじゃなくて、バランスのよさがもたらす結果として、ノーズが長く見えるのがいい。
菊池  そうなんですよね。今日履いているジョンストン&マーフィーみたいな木型の靴を探しているんですけど、全然ないんですよね。
赤峰  そういう昔の大切な靴って、菊池さんはリペアとかされるんですか?
菊池  僕はしないんです。本当はしたいんですけど、どうしても放ったらかしになっちゃいます。
赤峰  服でもそうなんですけど、僕も手入れのいいほうではないんです。よく靴の好きな人で靴オタクみたいな人がいるじゃないですか。やたら凝りすぎている人。そういうのは苦手です。菊池さんは、靴はこうあるべき、みたいなのってありますか?例えば常にピカピカでないといけないとか・・・・・。
菊池  靴はきれいであるというより、本当に好きだったら履きますからね。だから、履いたままの感じ。ただ、やっぱりリペアして履くくらいのマメさは、あったほうがいいと思います。僕はやってないですけど(笑)。
赤峰  僕の中では、買いたての靴って嫌なんです。
菊池  あっ、それ僕も嫌です。
赤峰  ヨーロッパの車と同じで、汚れてこないと自分の靴にならない感じがして。真新しい状態を維持するような気分って嫌なんです。どちらかというと、自分の足で革をいじめてやるみたいな。いじめ込んでいかないと、自分の足の形に沿ってこない感じがしますしね。
菊池  手入れもしないんですか?
赤峰  たまにはします。でもしょっちゅうやるとか、そういうのはないです。今日は写真撮るから、あれでも一応磨いてきたんですけど、全然磨いている感じになってないですね(笑)。
菊池  僕も普段はほとんどしないんですけど、今日は一生懸命磨いて、シューツリーとか入れたことなかったんだけど入れて(笑)。
赤峰  一緒ですね(笑)。

■今年はエスパドリーユが凄く気になっている
菊池  映画から影響を受けた靴ってありますか?
赤峰  「第三の男」です。あれはチャーチだったと思うんだけど、ドレッシーってのはこういうものなんだ、みたいなのが、「第三の男」にはある。あと、向こうの連中って、机の上にボーンと靴を乗っけるじゃないですか。
菊池  よくやりますよね。パカーンと乗っけてね。
赤峰  裏がピカッて光っているのが靴の文化だな、みたいな。真似て土踏まずのところを顔が映るくらいにピカピカに磨いた記憶がありますよ(笑)。
菊池  映画でコンビの靴あるでしょう、1930年代のやつ。その頃の映画の服が好きで、自分でもコンビの靴にスパッツをつけたりしましたね。手元にないので最近は履いてないですけど。
赤峰  コンビの靴だと、昔のテレビ版アンタッチャブルのフランク・ニティか、「(注4)華麗なるギャツビー」あたり。
菊池  ギャツビーは、いろいろ楽しめますよね。
赤峰  そうそう。あと、若い頃のイブ・モンタンがエスパドリーユを履いていて、それがカッコよくて、やっぱり憧れました。リビエラのスタイルはエスパドリーユ、みたいな。
菊池  僕ね、実は今、エスパドリーユが凄く気になっているんです。
赤峰  究極のリゾートであり、原点って感じで、あのキャンバスのいろんな色というのが、また何かいいじゃないですか。絶対色が落ちちゃうんだけど。特にエスパドリーユのジュートに黒を合わせるのとかいいなぁ。
菊池  それ、カッコいい!
赤峰  エスパドリーユのローファーとか作ってみたいんですよね。
菊池  是非やりたいですねぇ。


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(注1) 「ジョージ・チャキリス」
1934年アメリカ・オハイオ生まれの俳優。高校生の頃からダンサーを志し、'61年の映画「ウエストサイド物語」でベルナルド役に抜擢。

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(注2) 「バス」
1876年に創業したアメリカのシューズブランド。ブランドを代表する名作ローファー「ウィージュン」は、'70年代後半に日本でも大ブレイク。

(→)'70年代製バスの「ウィージュン」のデッドストック。

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(注3) 「ウォーク オーバー」
'90年代までアメトラファン御用達だったアメリカのシューズブランド。レンガ色ソールをしたダーティバックやホワイトバックスが有名でした。

(→)ウォークオーバーの大定番だったダーティバックス。

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(注4) 「華麗なるギャツビー」
スコット・フィッツジェラルドの小説を、1974年に映画化。ラルフ・ローレンが衣装を担当。写真は主演のロバート・レッドフォード。

Posted by インコントロ STAFF at 00時00分   コメント ( 0 )

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us boy 2011年03月23日 23時34分 [削除]

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朝日新聞be on Saturday『赤峰幸生の男の流儀‘暑い季節の大人カジュアル’』2012年7月7日(土)掲載

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