AKAMINE BLOG

メンズファッションディレクター 赤峰 幸生のBLOGです。

2008年07月24日(木)

OCEANS 9月号連載 AKAMINE STYLE 目覚めよ、日本の男たち! [OCEANS掲載記事]

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マエストロ赤峰の「オトナ相談室」
仕事、家庭、子育て、そして愛・・・・・・などなど。
30〜40代のオーシャンズ世代にもなれば、
少なからず何かしら悩みのタネは持っているもの。
そんな皆さまの”駆け込み寺”として開設されたのが、このオトナ相談室。
皆さまの質問にお答えするのは、”人生のマエストロ”こと赤峰幸生氏。
今月も痛快なご意見で迷えるオーシャンズ読者に救いの手を差し伸べてくれるハズ!
では皆さん、ご一緒に! 教えてっ、マエストロ!

今月のテーマ“ストレス”

[今月の質問]
毎月「オトナ相談室」を拝読し、人柄が滲み出ている回答に感銘を受けています。私は妻と息子の3人家族で、昨年マイホームを購入しました。子供の成長ぶりにはとにかく驚かされる毎日です。さて、実はここ最近とにかくストレスに悩まされています。仕事では中間管理職として上司、部下の板挟みにあい、家庭でも妻の機嫌取りをする毎日。どうにかストレスを解消しようと、いかに効率的に仕事を進めるかを考え、ひとりの時間を作るように努力しています。ですが、やっぱりストレスが溜まり、気楽な独身時代に戻りたいとすら思うことも.....。何かよいアドバイスをください。(38歳・福岡県在住・銀行勤務・K・Aさん)

Q.この方かなりストレスが溜まっていますね。最近、書店で仕事の効率化を謳う本をやけに目にするように、日本のビジネスマンは今、ものすごく病んでいる人が増えているんですよ!
 てめぇ、このやろう!今月は少しはましな話から始めやがったな。そうだ。今、日本のビジネスマンの多くは日々のストレスに悩まされている。売れ筋のビジネス書に仕事の効率化を謳う本が多いのは、国や会社といった組織に一切頼らずして身を立てる、という考え方がよりビジネスマンに浸透してきたのだろう。それゆえ、高次元での自己実現を願うビジネスマンが増えてきているのだ。しかし、翻ってみれば一方でそこからはお前の言うとおり、ビジネスマンの“心の病”の深刻化も推測できよう。事実、私はストレスを溜め込んで、うつ病になった人をたくさん見ている。特に順風満帆に人生を送ってきたように思われる人が、働き盛りの40代前後でエアポケットに入ったかのように、心の病にかかってしまう。まさに、幸せそうに見えて、実は不幸せに感じている。そんな人が驚くほど多い世の中になってしまったのだ。

Q.なるほど!いかに効率的かつ合理的に仕事生活と家庭生活を営むか、それがビジネスマンの課題ということですねっ!
 ばかやろう!てめぇはまったくわかっていやがらねぇな。だが、まるでオレと打ち合わせしたかのような相槌を打ちやがる。生活において効率化と合理化を第一義とする、まさにこの思想こそが病理のひとつと言えるのだ。確かにビジネスにおいては非常に重要であることは否定はしない。しかし、現代社会においてはその度が過ぎている。そこに大きな問題があるのだ。再三述べてきてはいるが、最近では「無駄=悪」と見なす傾向のなんと強いことだろうか。今ではあまり聞かなくなったが、「脱メタボ」という言葉。まるで「脂肪=悪」ということを社会全体で謳ったかのような社会現象だった。しかし、脂肪には必要量というものがあるのと同じように、「必要な無駄」もある。ゆえに、一切の無駄を排除するかのような風潮はなんともいただけない。そうやって効率化や合理化を求め続け、生活のすべてをスピード化していく様は、私には人間がまるで犬のように電柱から電柱をおしっこをしながら移動しているように滑稽に映ってしまうのだ。なお、言っておくが私は犬が大好きだ。多くの日本人は、忙しいことを美徳とすら思っているようだ。「昨日は徹夜で、今週末も仕事です!」などと、自慢げに忙しさを主張する。ドタバタと働いている自分に酔っている輩の何と多いことか。私に言わせれば、それは仕事がデキない証だ。

Q.お、お、おしっこですか!?確かに仕事はデキなそうですね。というか、なんだか悲しすぎる・・・・・。では、マエストロ!ずばり、仕事が“デキる”とはなんなのでしょうか?
 ようし、だんだんノッてきたな。仕事がデキるとは、己をコントロールできることだ。だからこそ、仕事ができる人間は息抜きもウマイ。オンとオフを上手に使い分け、ストレスを溜め込まない。精神的な抵抗力が高く、タフなのである。私はこれまでに何度も言ってきた。上手にサボリなさいと。悪い意味でのサボリではもちろんない。息継ぎをしなさいということだ。今日できることは今日する。しかし、明日でいいことは明日にする。誰かを出し抜くために、死に物狂いで先に仕事を進める必要などない。「勝ち組と負け組」の発想を捨てなさい。よく考えてみてほしい。いったい何が勝ちで、何が負けなのか。出世したら勝ち?収入が上がれば勝ち?そうではない。昔から私がいつも考えているのは、自分たちがやっている仕事は誰かの役に立っているかどうか、ということだ。たいそうな言葉ではあるが、それは考え方次第だ。自分で満足する仕事をして、その仕事で人に喜んでもらい、プライベートで家族と過ごす時間を幸せに感じることにこそ意味がある。出世して、収入が上がってもストレスで精神的に病む。それでは何の意味もない。いったい自分が何のために仕事をしているのか?そうやって常に問題意識を持つということが何よりも重要なのである。問題意識はあなたの働く意味となり、生きていく意味となる。そして、その意味をしっかりと理解している人には揺るぎない自信が生まれるのである。やがて、自信はコントロールする糧となるのだ。今、この自信のない輩が実に多いのだ。

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(→)この日はなんと、会社のトイレを一生懸命に掃除するマエストロを発見!週に3回はトイレ掃除をするというから、驚きだ。誰もが嫌がりそうな仕事を自らが進んでやってみせる。これぞ、一流の証と言えよう。「なんでも自分でやる」というその性分から、マエストロの生き方そのものが読み取れよう。取材陣一同、これ以降トイレをお借りするのが非常に申し訳なくなったことは言うまでもないが・・・・・。

Q.なるほど、問題意識、自信ですね!しかし、何やら一筋縄ではいかない様子。そこで、マエストロ!簡単に自信がつく方法を教えてっ!
 てめぇ、このばかやろうがっ!簡単な方法だと?今度そんなことを言いやがったら、今すぐここからつまみ出すぞ!それともまた、オレの話を茶化そうというのか?一朝一夕に身につくものではない。そこに近道などありはしないのだ。とはいえ、アドバイスだけは送ろう。問題意識を持とうとすることは、ものごとの本質を理解しようとすることだ。例えば、記憶に新しい“秋葉原の刺殺事件”。あの事件に対して、あなたはどんな意見を持っているだろうか。その悲劇についての事実に関しては新聞やテレビをよく見て知るところだろう。では、なぜそんな事件が起こってしまったのか。加害者の個人的な理由に留まらず、社会背景まで捉えたうえで考えたみたことがあるか?報道された事実は、本当にすべてか。自分の頭で繰り返し考えることだ。そうやって事件をもっと俯瞰していく、あるいは掘り下げていくことで見えてくるものがある。それが、本質というものだ。そして、本質を捉えることで初めて、それが事件に対するあなたの意見となる。意見とは考え方であり主張である。そして、それこそがほかでもない、問題意識だ。日頃から、どんなことに対しても「なぜ?」と考えるクセをつけることが、問題意識を持つことにつながるのだ。要するに、勉強だ。勉強とは学生だけのものではない。万が一、学生時代を終えてからしっかりとした勉強というものを忘れてしまった人がいるなら、今すぐに改めてほしい。勉強とは、社会に出てさまざまな経験をしていく中でこそ必要なのだ。勉強場は、あなたの日常のいたるところにある。あなたは、仕事以外の時間で積極的に“誰かと話す努力”をしているか?タクシーの中、銭湯、飲み屋どこだっていい。年長者と話をしてみよ。先達から学ぶことのいかに多いことか。電車に乗ったら、降りる駅のひとつ前の駅で降りて目的地まで歩いてみるがいい。意識して、普段の行動を変えるのだ。そうすると、一駅分の道の中で、普段では気がつかなかったこと、見えなかったものが見えてくる。そこには、あなたの知らない世界が広がっているのだ。そこで出会う人や見たもの、どんな些細なことにも目を向けてみることから始めてほしい。素敵な花屋、うまい団子屋を発見するだけでもよいではないか。旅をしてみるというのも面白いだろう。
 それも、仕事のようにタイトなスケジュールを決めていく旅ではなく、目的を決めずに出る旅だ。偶然に身を任せてみるのも案外楽しかったりするものだ。こんなふうに、今までの自分の行動を意識して変えてみることが、何かを考えるきっかけになる。それが、問題意識を持つということにもつながるのだ。


Q.いつも問題意識を持つことで自信を身につけていくんですね!そして“デキる”人になる。そうすれば、己をコントロールできる!
 そのとおりだ!己をコントロールできるなら、このスピード化した情緒のカケラもないライフサイクルの中を、思い切ってローギアにシフトチェンジするのだ。一見、「無駄」に見えるようなことほど大切にしてみる。もっともっと「スロー」を心掛けてみてほしい。そうすることで、あなたの仕事や家庭を含めた“生活”がもっと俯瞰で見えてくるはずだ。時間とあなたのエネルギーには限りがある。そこでそれらをどのように最適に配分するかを決定するのだ。
 私はこれを、ライフスタイルにおける「選択」と「集中」と呼んでいる。要するに「メリ」と「ハリ」だ。効率化や合理化はそのための手段にすぎない。己をコントロールできさえすれば、ストレスなど恐れるに値しないであろう。

 
 

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−近ごろのマエストロ−
秋ごろ、神楽坂にショップをオープンする予定だ。そのショップでは私がディレクションしている「アカミネロイヤルライン」から、初めてのデニムを展開する。古い力織機でローテクに作り込んで、デニムの魅力を真正面から表現する。私は服を処分することがほとんどない。擦り切れて、変色して、もう着られないだろうという服をまだ着倒す。服に寿命はないのである。デニムがさまざまな着こなしに合わせやすく、幅広いシーンにマッチすることはご承知のとおり。新しい神楽坂のショップで展開するデニムも、私にとって一生涯、ずっとはき続けられるものになる。

■みなさんからの質問待ってます!
仕事から家庭、恋愛、そしてファッションetc.・・・・・・、日ごろ読者の皆さんが抱える悩み、疑問など、相談したいことを何でも教えてください。マエストロ赤峰がズバッと解決いたします!インターネットの場合は[ www.oceans-ilm.com ]へアクセスのうえ、「NEWS」から投稿してください。郵送の場合はハガキに @相談したいこと A氏名(ふりがな) B住所 C年齢 D職業 E電話番号 Fメールアドレス G「オトナ相談室」への感想 を明記し、〒162-0825東京都新宿区神楽坂6-42 オーシャンズ編集部「オトナ相談室係」まで。

Posted by インコントロ STAFF at 00時00分   コメント ( 0 )

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MEN'S EX 5月号 菊池武夫と赤峰幸生の Be Buffalo Forever! vol.12

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朝日新聞be on Saturday『赤峰幸生の男の流儀‘「トニック」という服地について’』2012年12月15日(土)掲載

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