AKAMINE BLOG

メンズファッションディレクター 赤峰 幸生のBLOGです。

2008年08月24日(日)

OCEANS 10月号連載 AKAMINE STYLE 目覚めよ、日本の男たち! [OCEANS掲載記事]

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マエストロ赤峰の「オトナ相談室」
仕事、家庭、子育て、そして愛・・・・・・などなど。
30〜40代のオーシャンズ世代にもなれば、少なからず何かしら悩みのタネは持っているもの。
そんな皆さまの”駆け込み寺”として開設されたのが、このオトナ相談室。
皆さまの質問にお答えするのは、”人生のマエストロ”こと赤峰幸生氏。
今月も痛快なご意見で迷えるオーシャンズ読者に救いの手を差し伸べてくれるハズ!
では皆さん、ご一緒に! 教えてっ、マエストロ!


今月のテーマ
“現代版・江戸しぐさ”

[今月の質問]
毎月楽しく「オトナ相談室」を妻と一緒に読んでおります。私は息子を持ち、仕事では教員として私立高校の教壇に立っています。ここ最近、若者の日本語離れが問題になっています。正しく美しい日本語の使い方や、「江戸しぐさ」について授業をすることも非常に多くなっています。現代をよりよく、豊かに生き抜くために、これらへの理解は欠かせないものになってきています。日本文化だけでなく海外の文化にも精通していらっしゃるマエストロに、それらを併せたような現代版の「江戸しぐさ」を何か教えていただけないでしょうか? (40歳・埼玉県在住・私立高勤務・O.Yさん)

Q.おっと、今月も壮大なテーマですよ。「現代版・江戸しぐさ」だそうです。日本語やその使い方の重要性を改めて知る。そんな気運も今、確かに高まっています。
 てめぇ!いい具合に始めやがるじゃねぇか。そうだ!その通りだ。最近、日本人は日本人のよさを失っている。大体、日本が素晴らしいと語るのは外国人であって、日本人であることは少ない。そればかりか、そこに気がつかない日本人が多すぎるのではないか。海外の文化に触れることで、初めて日本のよさを再認識するようになった経験はあるだろう。ご指摘のとおり、文化の根幹をなすものは「言葉」である。つまり、日本語を正しく使えなければ、その美しさなど到底理解できるはずがない。ましてや、日本文化を理解しようなど永劫叶わぬ。ただし、ここで言うそれは、文法的な意味だけに留まらない。忘れてはならないのは、日本語は、特有の“間(ま)”や“侘び寂び”といった「粋」を宿すものであることだ。それが、日本らしさ、つまり日本文化を理解するうえで極めて大切だ。
 例えば、私に会うなり、「いやぁ、暑いですねぇ」と話しかける輩が多い。私は思わず続ける言葉を失うね。「てめぇ、暑いから何だ、この野郎」と腹の中で思う。そうではなくて、「蝉の季節ですね」だとか、「緑が色濃く感じられる日ですね」といった言葉は出てはこないのか。そうすれば、「いやあ、そうだね」と話が続き、たとえ短い会話であろうと、それは心地よい会話となる。言葉使いとは、こういった日々の小さな積み重ねである。それが、結果的に相手を気持ちよくさせる、つまり、思いやることにもつながるのだ。

Q.なるほどっ!さすがはマエストロ!いつもいつも、ありがたいお言葉。お忙しいのに本当にありがとうございます!さすが、江戸っ子!粋ですねっ!
 馬鹿やろうっ!ふざけているのか!だが、間違ってはいない。私は江戸っ子だ。江戸っ子といえば、まず“べらんめえ調”の乱暴な言葉使いを連想するかもしれないが、実はそうではない。相手を慮る世辞が自然と使える、もしくはそんな振る舞いができることが大切だ。そして昨今、改めて見直されようとしているものが、「江戸しぐさ」である。最近では、小学校の授業にも使われることもあるようだ。江戸時代、かつて寺子屋では、大人が子供に話しかけ、子供が自分で考えて自分の言葉で話す訓練をしたそうである。そして、そこには身分や年齢といった概念はなく、対等の人間関係のみが存在した。例えば、部下に「おはようございます」と挨拶をされて、あなたは何と答えているだろうか?「おはよう」と偉ぶってはいないだろうか。私はどんな相手であろうと「おはようございます」と返す。そのほうが、部下も私も気持ちがいい。同格の言葉を返すことは、信頼関係を築くうえでも大切なのだ。さて、もうひとつ。お前が、先ほど使った「忙しい」という言葉。これを使われることを私は好まない。「赤峰さん、お忙しそうですね」と話されると、てめぇ、何だとこのやろう! 失礼な奴だ、と思う。まぁ、そう言葉にすることはないが、仕方なくそれを我慢したとして、そんな時はあえてこう言う。「かなり、暇なんです」。別に天の邪鬼をしているわけではない。「忙」という字は心を亡くすと書くだろう。つまり、相手に「忙しいですね」とは「心を亡くしていますね」と言っていることと同義であり、失礼を意味するのだ。少なくとも江戸商人においては、その言葉遣いは認められなかった。もし、忙しそうな相手に声をかけたりするときは「ご多用のところ」と言ったりするのが正しい。何でもメールで済まされる時代である。だからこそ、相手と直接交わす言葉では日本語のよさや意味を意識して、使うようにしてほしい。

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(→)マエストロは自他ともに認める無類の動物好き。この日は、公園でワンコとじゃれあう姿をパチリ。動物にも“思いやりの気持ち”をもって対等に語りかけるその姿は、微笑ましくもあり、氏の生きざまを映し出しているようでもありました。

Q.いやぁ〜深いですねぇ、日本語。なんだか身に染み入るお言葉です。お言葉にいつも含蓄があるのは、その言葉遣いのせいでもあったんですね。日本語の魅力をほかにも教えてっ!
 てめぇ、言いやがるじゃねぇか。オレを持ち上げてどうするつもりだ。日本語の魅力を教えてほしいのか。映画のタイトルにも使われた「武士の一分」という言葉がある。金や名誉を捨てたとて、これだけは譲れないという意志を持つことだ。つまり、プライドを保ち続ける、自分を自分が裏切らない、ということだ。生活のありとあらゆる場面で「武士の一分」があるか問われる。そのたびに私は自分を律するのである。しかし、世の中はどうだ?己の誇りはどこへ消えうせた?金や名誉のためなら何でもする輩が多すぎる。かつての武士は、生活が困窮して月代〜さかやき〜(=江戸時代には風俗にもなった成人男子の髪型)は伸び放題、着物はボロで、あちこちに借金をして、それでも武士は気位を失わなかったという。例えばあなたの会社が潰れて、名刺がなくなり、仕事を失ったときに、どれだけ誇りを保ち続けられるか。人間の強さは、丸裸にされたときに初めて試されるものだ。同じことをする必要はないが、その精神だけは、ぜひ覚えておきたいものだ。
 やせ我慢を意味することもあるが、私は「武士は食わねど高楊枝」という言葉も好ましく思う。なぜなら、それは自分を律することができているということだからだ。オフィス街に行くと、ジャケットを脱いで、半袖のシャツで、ネクタイは外し、スリッパを履いて街を歩いている輩に出くわす。クールビズのエコロジカルな精神に異を唱えはしないが、ネクタイを締めないビジネスマンは、刀を差さない武士と同じだ。兜の緒を締めるように、ネクタイを締めると気持ちが引き締まる。そして、これは装いにおける世界基準でもある。いかに暑かろうと「やせ我慢」をせよ。自分を律する心持ちはネクタイにも現れる。このように、日本語には、自分を律することに通じる振る舞いや気構えを示してくれる言葉がたくさんある。それこそが、大きな魅力だ。

Q.よっ!さすが平成の武士!マエストロは、ラストサムライですね!しかも、海外の文化にも精通していますしね。日本との違いってどうなんですか?
 私は江戸っ子だが、江戸かぶれをしているわけではない。イタリアやイギリスの文化に多く触れてきた。文化とはその国や土地による違いはあれ、海外には総じて日本人が学ぶべきことも数多い。ひとつ日常的なシーンでの例を挙げよう。日本の駅では「携帯電話をお切りください」とか、「白線よりお下がりください」とか、「間もなく出発です」とか、事細かに放送が流れる。これは、悪いことだとは言わない。だが、それが意味するのは、言わなければできないという、要は“子供扱い”されているということだ。ところが、イタリアではそういった類いの放送は一切、流れない。列車は定刻になれば、勝手に走り出す。日本に比べて、これは極めて“大人扱い”だと言える。また、イタリアの友人と電話で話すと最後に必ずと言ってよいほど「ご家族にもよろしく」と締めくくる。これは「あなたを取り巻く人が元気でいるか」という心配りの意味合いで、それは私に対する親愛の情からくる言葉だ。つまり、そんな日常のシーンからでさえも、イタリア文化、あるいはイタリア人の成熟度の高さを垣間見ることはできないか。一方、日本ではどうだろう。日本人には、悲しいかな、心のゆとりがまったくもって足りないのだ。もちろん、日本でも昔はそうした気配りがあった。しかし、そういった“心のゆとり”が失われてきている。心のゆとりとは、誰かを思う気持ちである。言葉やしぐさの本質は、まさにその心のゆとりにある。そして、そのゆとりが文化を形作っていくのだ。独り善がりな心からは、何も生まれることはない。


Q.言葉やしぐさの本質は相手を思う気持ち、ですか。ではなぜ、この日本からその気持ちが失われてきているのでしょうか?そして、今我々に必要なことは何か、教えてください!
 それは、おそらく日本人が生きていくうえで規範とすべき“道標”が形骸化してきているからだ。わかりやすく言えば、それがかつての「武士道」だ。英国をはじめとする欧州の国々には、ジェントルマンシップとしての「騎士道」が文化として息づいている。我々がすべきことは、まずこの日本から消えようとしている文化を継承していこうとする姿勢を持つことだ。「正しい日本語」の習得と理解、そして実践から始めよう。日本文化の深みを知ってこそ、海外へ目を向けることができる。かつての規範にすべてを求めることはできない。しかし、そこには現代にも通じる素晴らしい文化が凝縮されている。日本文化への造詣は、あなたの生き方にとって大きな示唆となるはずだ。文化の根幹を成す正しく美しい言葉やしぐさの本質は、誰かを思いやる気持ちにある。それをもう一度よく理解したうえで、海外でのよき規範あるいは文化を見渡せばよい。そうすれば、あなたの求める「現代版・江戸しぐさ」は自ずと身に付くはずである。

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−近ごろのマエストロ−
1年ほど前、ある英国ブランドから日本での展開にあたり、アドバイスを求められた。もちろん、時間を割いて耳を傾けた。そして、私なりに精一杯の助言はしたつもりである。しかし、それから音沙汰はなく、今秋から日本での展開を始めるのだと聞いた。「馬鹿やろう」である。アドバイスを求めていながら、まったく仁義に欠ける。私は金銭的なことなどではなく、その気持ちのつながりを欠いた行為に強い憤りを覚える。この社会とは、人と人のつながり、つまり心と心のつながりで成立しているものなのだ。

■みなさんからの質問待ってます!
仕事から家庭、恋愛、そしてファッションetc.・・・・・・、日ごろ読者の皆さんが抱える悩み、疑問など、相談したいことを何でも教えてください。マエストロ赤峰がズバッと解決いたします!インターネットの場合は[ www.oceans-ilm.com ]へアクセスのうえ、「NEWS」から投稿してください。郵送の場合はハガキに @相談したいこと A氏名(ふりがな) B住所 C年齢 D職業 E電話番号 Fメールアドレス G「オトナ相談室」への感想 を明記し、〒162-0825東京都新宿区神楽坂6-42 オーシャンズ編集部「オトナ相談室」係まで。

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この秋、スーツは断然「グレンチェック」 [OCEANS掲載記事]

その“よさ”を彼らは既に知っていた・・・・・
ほら、達人たちには「グレンチェック」が当たり前!

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あくまでも控えめな印象でこなしたい

グレンチェックには特別な思い入れがあると語る赤峰さん。「1970年代に会社を興し、男の装いの原点は英国にあることから社名をグレンオーヴァーとしました。だから、その名の由来ともいえるグレンチェックは私にとって特別な柄でもあります。このスーツはアカミネロイヤルラインのもので、生地はドレス感のあるウーステッド。ジャケットはやや細身、対してパンツは太めのストレートというシルエットです」。今回はベーシックな白×黒のグレンチェックスーツなので、誰でも真似しやすい白シャツと黒タイのVゾーンに。モノトーンでストイックにこなしていただいた。

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黒シルクのチーフに入る赤いドットがアクセント。「ケーリー・グラントの場合は赤のバラだったね」とは赤峰さんの弁。袖口には英国的紋章が入っている赤いカフスリンクスを着用。

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2008年08月06日(水)

Akamine Royal Line 2008F/W&2009S/S Special Pattern Order会 [Special Pattern Order会]

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 平素は格別のお引き立てを賜り心より御礼申し上げます。Y.Akamine Collectionより通算して09S/Sは23回目のコレクションとなり、テーマは「21世紀のヴィンテージ」です。
私の送り手としての想いを少しでも多くのお客様へご紹介させていただきお一人お一人のヴィンテージを温めていただくことにお力になれればとの想いを、10年は着られる男服の原点に立ち戻り、国内産地の素晴らしい匠の方々と心を込めて作り上げました。
ゲージのサンプル<DROP6・DROP7>をご用意し、生地については08FW、09SS共に国内開発素材及び海外の著名な生地を取り揃えております。ご多忙かと存じますが、ご来場をお待ち申しております。

(株)インコントロ オーダー担当



■Date : 8 / 28(木) 29(金) 9 /1(月) 2(火) 3(水) 4(木) 5(金)

■Place : Incontro Showroom

■Item : SUITS ¥136,000〜 , SHIRTS ¥18,000〜 ,
       JACKETS ¥110,000〜 , TROUSERS ¥46,000〜

■INCONTRO MAP
印刷用地図】  【Yahoo!Maps


■お問い合わせ、お願い
Tel 03-3447-1891
又は【コンタクトフォーム】よりご来場ご希望日時をご連絡いただければ幸いです。こちらから折り返し確認のご連絡をさせて頂きます。

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2008年07月24日(木)

OCEANS 9月号連載 AKAMINE STYLE 目覚めよ、日本の男たち! [OCEANS掲載記事]

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マエストロ赤峰の「オトナ相談室」
仕事、家庭、子育て、そして愛・・・・・・などなど。
30〜40代のオーシャンズ世代にもなれば、
少なからず何かしら悩みのタネは持っているもの。
そんな皆さまの”駆け込み寺”として開設されたのが、このオトナ相談室。
皆さまの質問にお答えするのは、”人生のマエストロ”こと赤峰幸生氏。
今月も痛快なご意見で迷えるオーシャンズ読者に救いの手を差し伸べてくれるハズ!
では皆さん、ご一緒に! 教えてっ、マエストロ!

今月のテーマ“ストレス”

[今月の質問]
毎月「オトナ相談室」を拝読し、人柄が滲み出ている回答に感銘を受けています。私は妻と息子の3人家族で、昨年マイホームを購入しました。子供の成長ぶりにはとにかく驚かされる毎日です。さて、実はここ最近とにかくストレスに悩まされています。仕事では中間管理職として上司、部下の板挟みにあい、家庭でも妻の機嫌取りをする毎日。どうにかストレスを解消しようと、いかに効率的に仕事を進めるかを考え、ひとりの時間を作るように努力しています。ですが、やっぱりストレスが溜まり、気楽な独身時代に戻りたいとすら思うことも.....。何かよいアドバイスをください。(38歳・福岡県在住・銀行勤務・K・Aさん)

Q.この方かなりストレスが溜まっていますね。最近、書店で仕事の効率化を謳う本をやけに目にするように、日本のビジネスマンは今、ものすごく病んでいる人が増えているんですよ!
 てめぇ、このやろう!今月は少しはましな話から始めやがったな。そうだ。今、日本のビジネスマンの多くは日々のストレスに悩まされている。売れ筋のビジネス書に仕事の効率化を謳う本が多いのは、国や会社といった組織に一切頼らずして身を立てる、という考え方がよりビジネスマンに浸透してきたのだろう。それゆえ、高次元での自己実現を願うビジネスマンが増えてきているのだ。しかし、翻ってみれば一方でそこからはお前の言うとおり、ビジネスマンの“心の病”の深刻化も推測できよう。事実、私はストレスを溜め込んで、うつ病になった人をたくさん見ている。特に順風満帆に人生を送ってきたように思われる人が、働き盛りの40代前後でエアポケットに入ったかのように、心の病にかかってしまう。まさに、幸せそうに見えて、実は不幸せに感じている。そんな人が驚くほど多い世の中になってしまったのだ。

Q.なるほど!いかに効率的かつ合理的に仕事生活と家庭生活を営むか、それがビジネスマンの課題ということですねっ!
 ばかやろう!てめぇはまったくわかっていやがらねぇな。だが、まるでオレと打ち合わせしたかのような相槌を打ちやがる。生活において効率化と合理化を第一義とする、まさにこの思想こそが病理のひとつと言えるのだ。確かにビジネスにおいては非常に重要であることは否定はしない。しかし、現代社会においてはその度が過ぎている。そこに大きな問題があるのだ。再三述べてきてはいるが、最近では「無駄=悪」と見なす傾向のなんと強いことだろうか。今ではあまり聞かなくなったが、「脱メタボ」という言葉。まるで「脂肪=悪」ということを社会全体で謳ったかのような社会現象だった。しかし、脂肪には必要量というものがあるのと同じように、「必要な無駄」もある。ゆえに、一切の無駄を排除するかのような風潮はなんともいただけない。そうやって効率化や合理化を求め続け、生活のすべてをスピード化していく様は、私には人間がまるで犬のように電柱から電柱をおしっこをしながら移動しているように滑稽に映ってしまうのだ。なお、言っておくが私は犬が大好きだ。多くの日本人は、忙しいことを美徳とすら思っているようだ。「昨日は徹夜で、今週末も仕事です!」などと、自慢げに忙しさを主張する。ドタバタと働いている自分に酔っている輩の何と多いことか。私に言わせれば、それは仕事がデキない証だ。

Q.お、お、おしっこですか!?確かに仕事はデキなそうですね。というか、なんだか悲しすぎる・・・・・。では、マエストロ!ずばり、仕事が“デキる”とはなんなのでしょうか?
 ようし、だんだんノッてきたな。仕事がデキるとは、己をコントロールできることだ。だからこそ、仕事ができる人間は息抜きもウマイ。オンとオフを上手に使い分け、ストレスを溜め込まない。精神的な抵抗力が高く、タフなのである。私はこれまでに何度も言ってきた。上手にサボリなさいと。悪い意味でのサボリではもちろんない。息継ぎをしなさいということだ。今日できることは今日する。しかし、明日でいいことは明日にする。誰かを出し抜くために、死に物狂いで先に仕事を進める必要などない。「勝ち組と負け組」の発想を捨てなさい。よく考えてみてほしい。いったい何が勝ちで、何が負けなのか。出世したら勝ち?収入が上がれば勝ち?そうではない。昔から私がいつも考えているのは、自分たちがやっている仕事は誰かの役に立っているかどうか、ということだ。たいそうな言葉ではあるが、それは考え方次第だ。自分で満足する仕事をして、その仕事で人に喜んでもらい、プライベートで家族と過ごす時間を幸せに感じることにこそ意味がある。出世して、収入が上がってもストレスで精神的に病む。それでは何の意味もない。いったい自分が何のために仕事をしているのか?そうやって常に問題意識を持つということが何よりも重要なのである。問題意識はあなたの働く意味となり、生きていく意味となる。そして、その意味をしっかりと理解している人には揺るぎない自信が生まれるのである。やがて、自信はコントロールする糧となるのだ。今、この自信のない輩が実に多いのだ。

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(→)この日はなんと、会社のトイレを一生懸命に掃除するマエストロを発見!週に3回はトイレ掃除をするというから、驚きだ。誰もが嫌がりそうな仕事を自らが進んでやってみせる。これぞ、一流の証と言えよう。「なんでも自分でやる」というその性分から、マエストロの生き方そのものが読み取れよう。取材陣一同、これ以降トイレをお借りするのが非常に申し訳なくなったことは言うまでもないが・・・・・。

Q.なるほど、問題意識、自信ですね!しかし、何やら一筋縄ではいかない様子。そこで、マエストロ!簡単に自信がつく方法を教えてっ!
 てめぇ、このばかやろうがっ!簡単な方法だと?今度そんなことを言いやがったら、今すぐここからつまみ出すぞ!それともまた、オレの話を茶化そうというのか?一朝一夕に身につくものではない。そこに近道などありはしないのだ。とはいえ、アドバイスだけは送ろう。問題意識を持とうとすることは、ものごとの本質を理解しようとすることだ。例えば、記憶に新しい“秋葉原の刺殺事件”。あの事件に対して、あなたはどんな意見を持っているだろうか。その悲劇についての事実に関しては新聞やテレビをよく見て知るところだろう。では、なぜそんな事件が起こってしまったのか。加害者の個人的な理由に留まらず、社会背景まで捉えたうえで考えたみたことがあるか?報道された事実は、本当にすべてか。自分の頭で繰り返し考えることだ。そうやって事件をもっと俯瞰していく、あるいは掘り下げていくことで見えてくるものがある。それが、本質というものだ。そして、本質を捉えることで初めて、それが事件に対するあなたの意見となる。意見とは考え方であり主張である。そして、それこそがほかでもない、問題意識だ。日頃から、どんなことに対しても「なぜ?」と考えるクセをつけることが、問題意識を持つことにつながるのだ。要するに、勉強だ。勉強とは学生だけのものではない。万が一、学生時代を終えてからしっかりとした勉強というものを忘れてしまった人がいるなら、今すぐに改めてほしい。勉強とは、社会に出てさまざまな経験をしていく中でこそ必要なのだ。勉強場は、あなたの日常のいたるところにある。あなたは、仕事以外の時間で積極的に“誰かと話す努力”をしているか?タクシーの中、銭湯、飲み屋どこだっていい。年長者と話をしてみよ。先達から学ぶことのいかに多いことか。電車に乗ったら、降りる駅のひとつ前の駅で降りて目的地まで歩いてみるがいい。意識して、普段の行動を変えるのだ。そうすると、一駅分の道の中で、普段では気がつかなかったこと、見えなかったものが見えてくる。そこには、あなたの知らない世界が広がっているのだ。そこで出会う人や見たもの、どんな些細なことにも目を向けてみることから始めてほしい。素敵な花屋、うまい団子屋を発見するだけでもよいではないか。旅をしてみるというのも面白いだろう。
 それも、仕事のようにタイトなスケジュールを決めていく旅ではなく、目的を決めずに出る旅だ。偶然に身を任せてみるのも案外楽しかったりするものだ。こんなふうに、今までの自分の行動を意識して変えてみることが、何かを考えるきっかけになる。それが、問題意識を持つということにもつながるのだ。


Q.いつも問題意識を持つことで自信を身につけていくんですね!そして“デキる”人になる。そうすれば、己をコントロールできる!
 そのとおりだ!己をコントロールできるなら、このスピード化した情緒のカケラもないライフサイクルの中を、思い切ってローギアにシフトチェンジするのだ。一見、「無駄」に見えるようなことほど大切にしてみる。もっともっと「スロー」を心掛けてみてほしい。そうすることで、あなたの仕事や家庭を含めた“生活”がもっと俯瞰で見えてくるはずだ。時間とあなたのエネルギーには限りがある。そこでそれらをどのように最適に配分するかを決定するのだ。
 私はこれを、ライフスタイルにおける「選択」と「集中」と呼んでいる。要するに「メリ」と「ハリ」だ。効率化や合理化はそのための手段にすぎない。己をコントロールできさえすれば、ストレスなど恐れるに値しないであろう。

 
 

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−近ごろのマエストロ−
秋ごろ、神楽坂にショップをオープンする予定だ。そのショップでは私がディレクションしている「アカミネロイヤルライン」から、初めてのデニムを展開する。古い力織機でローテクに作り込んで、デニムの魅力を真正面から表現する。私は服を処分することがほとんどない。擦り切れて、変色して、もう着られないだろうという服をまだ着倒す。服に寿命はないのである。デニムがさまざまな着こなしに合わせやすく、幅広いシーンにマッチすることはご承知のとおり。新しい神楽坂のショップで展開するデニムも、私にとって一生涯、ずっとはき続けられるものになる。

■みなさんからの質問待ってます!
仕事から家庭、恋愛、そしてファッションetc.・・・・・・、日ごろ読者の皆さんが抱える悩み、疑問など、相談したいことを何でも教えてください。マエストロ赤峰がズバッと解決いたします!インターネットの場合は[ www.oceans-ilm.com ]へアクセスのうえ、「NEWS」から投稿してください。郵送の場合はハガキに @相談したいこと A氏名(ふりがな) B住所 C年齢 D職業 E電話番号 Fメールアドレス G「オトナ相談室」への感想 を明記し、〒162-0825東京都新宿区神楽坂6-42 オーシャンズ編集部「オトナ相談室係」まで。

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2008年06月24日(火)

OCEANS 8月号連載 AKAMINE STYLE 目覚めよ、日本の男たち! [OCEANS掲載記事]

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マエストロ赤峰の「オトナ相談室」
仕事、家庭、子育て、そして愛・・・・・・などなど。
30〜40代のオーシャンズ世代にもなれば、
少なからず何かしら悩みのタネは持っているもの。
そんな皆さまの”駆け込み寺”として開設されたのが、このオトナ相談室。
皆さんの質問にお答えするのは、”人生のマエストロ”こと赤峰幸生氏。
今月も痛快なご意見で迷えるオーシャンズ読者に救いの手を差し伸べてくれるハズ!
では皆さん、ご一緒に! 教えてっ、マエストロ!


今月のテーマ
“最高の親孝行”

[今月の質問]
いつも楽しく「オトナ相談室」を読ませていただいております。私は2人の娘を持ち今年で結婚5年目になります。仕事も家庭ももちろん順調です。ですが、ここ最近、自分の両親のことがとても気になるんです。地方の高校を卒業して以来、大学入学とともに東京に移り住んだ私は、上京して20年ほどになります。ここ数年、私が実家に住む両親と会うのは、多くて年に2回ほど。今後も私の生活の基盤が東京であることはおそらく変わりないでしょう。そういう状態で既に還暦を越えた両親と、今後どのように向かい合っていけばよいのか。本当に喜ばれる親孝行の仕方とでもいうのでしょうか。何かアドバイスをください。(37歳・東京都在住・不動産会社勤務・Y・Iさん)

Q.親と離れて暮らす子供にはやはり回避不能な問題でしょう。これぞ、この世代特有のお悩みっ!いやぁ、この人は偉いっ!
  馬鹿やろうっ!てめぇはこんな深刻な問題にも、相変わらず軽い!自分が年をとれば、親が老いるのは当たり前。自分の存在は親があってこそ。そして、自分もまた子供が生まれ、年老いるのである。親の面倒について思い悩むことは、よいことだ。ご両親から深い愛情を受けて育ったという証でもある。(注1)『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』がベストセラーとなったが、それは地方出身者にとって「東京での親との同居」が身近な問題であったこともあるのだろう。親が地方に暮らし、子供が東京で暮らしている。もちろん一概に言えることではないが、親を東京に呼んで一緒に暮らすかどうかは、住んでいる土地への思い入れの度合いにもよる。同居の問題に限らず、親の立場になってみれば、必ずしも子供の面倒になりたいと思っているわけではない。今回投稿してくださった方の親御さんにも言えることであろうが、子供に迷惑をかけないために、親は往々にして子供に遠慮をするものだ。そして、子供は子供でそんな親の本当の気持ちを知らないまま時間だけが経っていくのだ。「便りがないのがよい便り」などという言葉があるが、結果的に十分な連絡さえとらずにいるというのが現状だろう。しかし、私に言わせれば、そんなのは間違っている。実際には、「便り」は必要だ。とはいえ、こういう手合いの問題はひとえに解決はできないし、正解と呼べる解決法もないだろう。だからこそ私は、今できることをしろ!といいたい。

Q.今できることをする、ですね。でも、物理的に距離の問題をクリアする、うまい親孝行ってあるんですか?
 何がうまい親孝行だ!てめぇ、ふざけるんじゃねぇ!親との距離など問題ではない。最も大切なのは、親への感謝を忘れずに、いつも大事に思う気持ちだ!てめぇはそれが、まるでわかってねぇ。とはいえ、確かに独身時代とはことなり、自分の子供もいる今では、さまざまな物理的な問題もある。では、そのうえでアドバイスをしよう。まずは、そうは言ってもなるべく親と一緒に過ごせる時間を作ってほしい。我が子を大切にすることと親を大切にすることは同じ意味を持つ。なぜなら、子供にとって祖父、祖母とのコミュニケーションはとても有意義なものだからだ。子供を叱れない親、子供の顔色を伺う親、子供に過保護な親など、現代の親子を巡るさまざまな問題がある。これらを避けるためにも有効な手段が、やはり祖父母の存在だ。本来親が子供に教えるべきことを代わって祖父母が教える、そういうことはとても多いのだ。同居をしろとは言わないが、自分の親を大事にして「近くに感じる」ことが、結果的に我が子のためになっているということはよくあることだ。
 私の知り合いに、親が結婚式のために東京に出てきて以来、一度も里帰りしていないという輩がいる。そんな輩に限って、親孝行したい、そう思ったときには親はなし、となる。何か贈り物をしたとて、それはそれ。電話で話すことも、それはそれ。実際に会って、会話して、同じ飯を食うことが最も大事なのだ。盆暮れに限らず、親に会いに行け。そして、親と離れて暮らしているのであれば、彼らの写真をリビングにでも飾るとよい。いつも彼らの存在を感じて暮らすのだ。それは、「何をしたか」や「金銭的なこと」ではなく、気持ちの面でしっかり親のことを考え、思う。そうやって、親の方を向いて生きるということが必要なのだ
 また、親に会いに行くということだけでなく、その逆も考えてほしい。もし、これから家を引っ越す、購入するという予定があるならば、その家に親が遊びに着たときに泊まれる部屋を用意してほしい。それは特別な日でなくとも、一年中365日いつでも来てもらって構わない、そういう心温かなメッセージになる。

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(→)和食・洋食を問わず、自分で何でも作れてしまうというマエストロ。今回は、なんとその腕前をご自宅で披露していただきました。結果はご覧のとおり。流れるような包丁さばきから、フライパンさばきなど、まさにプロ顔負けでありました。作った料理は、本場イタリアの味を知り尽くしたマエストロならではの、トマトベースのパスタ。もちろん、ばっちりアルデンテでありました。

Q.ジーン・・・・・・、身に染み入る思いです。ですが、自分の親と妻の親、それぞれの付き合い方に差が出てしまいがちですよね。
 また、この手の相談か。差があっていいわけはないだろう。結婚した時点で、妻の親も自分の親なのだ。自分の親だけ、なんてことは愚の骨頂だ。もし、妻がそうなのであれば、改めさせなくてはならない。妻が姑となった自分の親とうまくいかない、なんてことは昔からあることだ。ケースバイケースだから、その解決方法を語ることは難しい。しかし、妻の機嫌取りのために、自分の親よりも妻の親ばかりを大事にしているという輩も多いと聞く。ふざけるのもいいかげんにしやがれ!妻へのパフォーマンスはほかのことでしろ。妻の実家に行って、いつまでもお客様扱いされることに心地よさを感じるのは悪くはないが、本来は間違っている。酒を呑んで、酔っぱらって裸でも寝てしまえ。お前はもうその家の一員、つまり家族なのだから。

Q.誰もが避けられないのが「老化」です。親の介護という点について、老人ホームはひとつの有効な手段ですが、マエストロは入りたいと思いますか?
 てめぇ、このやろう!ずいぶんと話しが変わるな。私の場合?そうだな。甘えることは不得手だ。自分のことは何でも自分でする気持ちが強い。だから、子供の世話になりたいとは思わない。老人ホームに入ったほうが気楽かもしれないな。それはそれ。そのときにならねば、わからないものだ。お互い迷惑がかからないからという理由で、老人ホームに親を入れることができれば親は幸せ、という考え方をする輩もいるようだが、その判断には慎重に慎重を期すべきだ。自分が楽をするために、金だけで解決することだけはするな。年をとると子供に迷惑をかけたくないと思うのは親心だ。もし、老人ホームに入ることを親が了承したとしても、それが本心とは限らない。自分がその立場になったときどうしたいか、そのように考えを巡らせろ。とはいえ、さまざまな事情が絡み合った非常にデリケートな問題であるだけに、この質問には個人的な意見だけに留めよう。


Q.はいはい!仕上げは服装ですね?流行りのアメトラでビシッとキメて、おお、これが「品格」ですかぁ!
 てめぇは本当に、大馬鹿やろうかっ!毎回、話を聞いてやがるのか?親と過ごす時をとりたいのはやまやまだが、仕事が忙しくて時間が作れないだと?お前はへっぽこやろうか!忙しぶっているだけではないのか。忙しいのはお前にプライベートの時間を作る能力がないからだ、そう思え。仕事がデキるから忙しいと勘違いしていないか。仕事がデキないから忙しいのだ。どうしても時間が作れないなら、手紙を書け。絵を添えた絵手紙をおすすめしよう。電話をするのも悪くはないが、それでは言葉足らずになってしまう。親への思いは自分の字で、自分の言葉で示せ。手紙を受け取った親はことあるごとに何度も読み返すだろう。先ほども言ったが、便りはあったほうがいい。自分の子供にも言葉を添えさせたらなおよい。
 そして、もうひとつ。これもさきほど言ったが、家の中には子供の写真を飾っているか? その子供の写真の横に親の写真も置いたらどうだ。離れて暮らしているのであれば、いつでも親に思いを馳せることになる。子供にとっても祖父母が身近になる。
 親におねだりすることがあってもいい。子供に頼られ、何かお願いされることは親にとってうれしいものだ。何だと? 家のローンを助けてもらいたいだと。このうすらトンカチがっ! 気持ち、心の通じ合いのことを言っているのだ。昔よく食べた大根の煮物を送ってくれとか、梅干しの漬け方を教えてくれとか、そういった頼みごとだ。そしてそういった些細なことが、親とのコミュニケーションとなり、絆をいっそう強く深める。親のほうを向いて生きるということは、その絆をいつも感じて暮らすということだ。忘れるな、時間とは有限である。些細なことであっても今できる精一杯のことをする。それが、最高の親孝行である。

 
 
(注1) 『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』
作者リリー・フランキーの実体験を基にした長編小説。2006年と2007年にテレビドラマ化。2007年に映画化、舞台化されている。


 
 

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−近ごろのマエストロ−
最近、知り合いにうつ病になったものがいる。原因は仕事でのストレスだ。結果を求められて、それに応えようとしてストレスを溜め込んでしまった。何度も言っているが、上手に手抜きをしなければだめだ。サボるという意味ではない。大事なのは公私混同すること。仕事をしていても、プライベートと同じく、自分の楽しみを見つけなくては息が詰まる。数字ばかり、パソコンの画面ばかり見ていてはIT病になる。休日には家族と自然に触れなさい。音楽を聴きなさい。映画を観なさい。五感を使うことで、ストレスが軽減されるのだ。

■みなさんからの質問待ってます!
仕事から家庭、恋愛、そしてファッションetc.・・・・・・、日ごろ読者の皆さんが抱える悩み、疑問など、相談したいことを何でも教えてください。マエストロ赤峰がズバッと解決いたします!インターネットの場合は[ www.oceans-ilm.com ]へアクセスのうえ、「NEWS」から投稿してください。郵送の場合はハガキに @相談したいこと A氏名(ふりがな) B住所 C年齢 D職業 E電話番号 Fメールアドレス G「オトナ相談室」への感想 を明記し、〒162-0825東京都新宿区神楽坂6-42 オーシャンズ編集部「オトナ相談室係」まで。

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OCEANS 8月号記事「名刺代わり」の腕時計の見つけ方 [OCEANS掲載記事]

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【人の視線が集まるような腕時計は好まない。自然となじんで見える、一体感が好ましい】

これ見よがしになるような、いかにも高そうな腕時計にはまったく興味がない。ブランドにも惹かれないし、新作がどうのという話にもまったく関心がない。腕時計を選ぶ基準は自分との一体感と着こなしとのハーモニー。だから、持っているのは使い込まれた腕時計ばかりで、黒革ベルトと茶革ベルトで靴や鞄など革小物と色合わせをしている。それと、手首を出っ張った骨の後ろに着けるのが流儀。昔はクラーク・ゲーブルやアーネスト・ヘミングウェイのように、腕時計が毛深い腕に埋もれているのが格好よく、優れたものだ。このオメガの腕時計は19歳のときに亡くした父親の遺品。以来、ずっと愛用している。いつかは息子に譲りたいと思っているよ。

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赤峰さんの一本
オメガ
「1940年代製アンティーク」

(写真右)●父から受け継いだオメガの腕時計。1940年代ごろのもので、イエローゴールド製の小ぶりなスクエアフェイス。ベルトはステッチの入っていないダークブラウンレザー。エイジングによる革の風合いがとても味わい深い。
(写真左)●15年ほど前に伊フィレンツェのアンティークショップにて購入したブローバ。茶のクロコダイルベルトの使い込まれた風合いが魅力的だ。

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2008年05月24日(土)

OCEANS 7月号連載 AKAMINE STYLE 目覚めよ、日本の男たち! [OCEANS掲載記事]

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マエストロ赤峰の「オトナ相談室」
仕事、家庭、子育て、そして愛……などなど。
30〜40代のオーシャンズ世代にもなれば、
少なからず何かしら悩みのタネは持っているもの。
そんな皆様の”駆け込み寺”として開設されたのが、このオトナ相談室。
皆さんの質問にお答えするのは、”人生のマエストロ”こと赤峰幸生氏。
今月も痛快なご意見で迷えるオーシャンズ読者に救いの手を差し伸べてくれるハズ!
では皆さん、ご一緒に!教えてっ、マエストロ!

今月のお悩みキーワード
“日本人の品格”

[今月の質問]
毎月「オトナ相談室」の痛快なマエストロ節に、深く感銘を受けています。突然ですが、私はいわゆる帰国子女で、子供のころから海外の文化に深く浸ってきました。現在も日本にある外資系企業で、さまざまな国籍の人々とともに働いています。最近特に「日本人」である自分を強く意識することがよくあります。果たして、日本人としてふさわしい「品格」を身に付けられているのか。30代半ばにしてお恥ずかしいかぎりですが、正直その自身はありません。今からでも間に合うのであれば、マエストロにぜひ「日本人としての品格」を身に付けるためのヒントを教えていただきたいと思っています。(36歳・兵庫県在住・外資系メーカー勤務R・Kさん)


 

Q.うわぁ、この深刻な悩み、どうしましょう?「品格」ブームに完全に乗り遅れちゃっていまさら難しいですよねっ?マエストロッ!
 やかましいわ!ブームだトレンドだ、お前はブンブンとカナブンのようにうるさい男だな!「品格」がブームだと?てめぇ、ふざけるな!まったく、これだから「品格」を失った世の中だと嘆かざるを得ない。だから、「品格」について書かれた本などが売れてしまうのだ。実に嘆かわしい。「品格」、そしてそれが満たされる所作とは本来、誰かから教えてもらうものではない。自然と備わるものである。とはいえ、そういった本が売れるということは、「品格」を持ちたいと思う輩が多いということの裏返し。かすかな望みが見出せそうだ。悩みを寄せてくれた読者の方も、海外経験や職場の環境が、「日本人としての自分」を俯瞰して見ようと思わせるきっかけになったのだろう。
 「品格」とは、毎日の暮らしぶり、そして長きに渡る生きざまに現れる。まず、すべての基本となるのは他者への配慮を念頭に置くという姿勢である。自分がよければそれでいい。そんな輩のなんと多いことか! タバコのポイ捨てなど、愚の骨頂だ。耐震強度偽装問題、賞味期限切れ問題、そのすべてに通じるのは、自分たちさえよければいい、という愚かな考え方だ。「品格」のある人とは、人に生かされていることを知っている。目の前の茶碗のごはんにありがたみを感じることができる。何事にも常に、感謝の気持ちを持ち得る人であってこそ、「品格」が備わり得るのである。「品格」に関する本を読むことは悪くない。問題なのは、読んだだけで「品格」を備えた気になっている輩がとっても多いのではないかということだ。あなたの行動が変わらなければ、習慣は変わらない。習慣を変えなければ、人は変わらないのだ。今回の相談者は、立派な経歴と社会的立場をお持ちのようだが、それは同じだと心得ていただきたい。「品格」のある人になりたいと願うことは素晴らしいことだ。まずは、自分自身の普段の行動を顧みてほしい。そして、感謝の気持ちを抱いて生きているか、いま一度自分に問い正してほしい。

Q.では、日本人らしい「品格」とは具体的にどういうことなんでしょう?マエストロ、簡単に教えてっ!
 てめぇ、このやろう。何にも聞いてやがらねぇのか!とはいうものの、お前に限っては難しく言うわけにはいかないな、まぁ教えてやろう。そもそも「品格」とは何か。確かに、その答えをひと言で提示するのは難しいが、日本人が昔から持ち続けている「謙虚さ」、「礼儀正しさ」、「思いやり」といった道徳観と言い換えることができるだろう。しかしそれらは、今やすっかり薄れてしまった。農耕民族である日本人は、それらの道徳観念を生んだ、よい意味での「集団主義」であった。しかし、今や「個人主義」がまかり通っている。競争社会の弊害として「合理主義」も極端化し、一切の無駄が省かれている。生活における日本古来からの「情緒」も消えかけている。ITの進化により、何よりもスピードが求められ、生活のゆとりがないのだ。住みやすい社会は、日本人が失いかけているよき道徳観なくしては、成り立たない。では、何が必要か。答えは、「日本人が日本人に還る」ことである。

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(→)休日になると、よく画材道具一式を持ってひとりでスケッチに出かけるというマエストロ。この日は、自然の木を被写体としてペンを滑らせるように絵を描かれていらっしゃいました。木の模様の隅々までを捉えようとするその目は、なんとも気迫のあるものでした。こうやって絵を描いていると、声を掛けられることも多いそう。その出会いというのもまた、スケッチをするひとつの醍醐味なのだとか。

Q.え?日本人に還る?必要なのは、昔の日本人を顧みることよりも、このIT社会を生き抜く「進化」では?
 馬鹿やろう!何が進化だ!日本、そして日本人について何も知らねぇで、何を言ってやがる。おととい来やがれっ!
 進化と言えば聞こえがいいが、言葉だけで実態が伴わなくていったい何になる。そして、日本人としての「品格」に必要なのは、日本特有の物事をしっかり知ることから始めるべきだと言いたい。
 まずは日本語だ。パソコンばかりを使う習慣が定着しきって、自分で文字を書かなくなっている。メールに依存してばかりいるから、手紙のよさを知らない。自分で文字を書くことは面倒だと、わざわざ紙とペンを用意することをしない。文字だって十人十色で、形や筆圧に書いた人の心が現れる。それはメールではとうてい伝えきれないものだ。大正、明治の人には皆、自分の字がある。特段にうまく書こうなどと思う必要はなく、自己流で大いに構わないのだ。そういえば、私は父に届いていた年賀状の文字をよく思い出す。それらの字は実に書き手の心が現れていた。書き手の人柄が、手に取るように伝わってくるのだ。自分らしい字を書けるか、またそいう字に「情緒」を見出せるかが大切なのである。私は誰に習ったわけでもないが、うまい文字を見て、それを手本としている。(注1)富岡鉄斎の文字を見てみよ。字が上手だとか下手とか、そういった判断はできないが、実に趣があるではないか。さらに、私は日本人の心を表すために、外国の友人宛には(注2)スマイソンの紙に筆で文字を書くことがある。そこには日本人ならではの、私ならではの心を宿しているつもりだ。文字に限ったことではない。言葉遣いも然りだ。例えば手紙を書く際、あなたはその冒頭に何と書く?ありきたりの季語を引用してはいないか?それが常識だとでも思っているならば、「品格」を身に付けるにはまだまだだと思われたい。日本語にある季語という美しい言葉を、その意味を考えずただ引用する。そこには、「情緒」のかけらもない。そうではなく、あなたが手紙を書くその日、その季節に対して、感じたことを、そのまま言葉にすればよいのだ。そうして初めて、手紙に書き手の心が宿る。「品格」を持ちたいと願うのであれば、手紙を書いてみよ。面倒に思えることが、無駄に思える時間が、心に余裕をもたらし、殺伐とした毎日のよき句読点となるのである。

Q.なるほど、つまり「ゆとり」ですね。それでは具体的に、普段マエストロが実践していることはありますか?
 私は東京生まれの東京育ちだ。そのせいか、ことのほか自然に触れたいと思っている。森に行けば、木に触れる。木に頬擦りをして、匂いをかぐ。子供と一緒に川縁を散歩もする。そして、木の名前、花の名前、鳥の名前、昆虫の名前を教えるのだ。そうやって自然の中で過ごすことにより、日本という国ならではの四季を肌で感じるのだ
 四季は食べ物でも感じる。イタリア料理もフランス料理もいいが、日本料理のよさは四季が色濃く反映されていることだ。食に関する日本人のデリケートさは世界一である。手触り、歯触り、舌触りが鋭い。「品格」を持とうとするならば、食を通じて四季を感じる敏感な感性を養うことだ。そして、それを子供とともに実践してほしい。


Q.はいはい!仕上げは服装ですね?流行りのアメトラでビシッとキメて、おお、これが「品格」ですかぁ!
 このうすらトンカチがっ!いい加減にしやがれ!服装で大切なのは、流行なんかよりも同じ空間にいる人に不快な思いをさせないことだ。T.P.O.の真意は、そのとき、その場に適した服装をすることで他者への配慮が行き届いていることにある。手本とするなら英国紳士だ。イタリア人は素晴らしい服装を評して「ケ モルト イングレーゼ(何と英国的なのだ!)」と言う。それは控えめで、周りにいる人を引き立てる「品格」のある服装だ。そしてそれは、実はデリケートな日本人の美学にとても通じることなのだ。
 また、日本人ならばやはり着物を着ていただきたい。何より着物を着ることで日本人であることを実感できるからだ。袂を気にしたり、あぐらをかいたり、その所作に日本人らしさが現れる。「日本人に還る」。その手段のひとつとして、着物は実に有効だ。
 失われた「品格」。それは、つかの間の快楽に身を委ねているからではないのか。四季の移り変わりを自覚しているか?そこに「情緒」を見出せているか?見落とすどころか、何も感じていないのではないか。生き急いでいるならば、そろそろ立ち止まるべきだ。耳を傾けるべきだ。そうすれば、心は澄んでくる。見えないものが見えてくる。今まで感じなかったことを感じるようになる。本来あるべき日本人に還ることができる。そう、その姿こそが、ほかでもない日本人としての「品格」と言えるのだ。

 
 
(注1) 「富岡鉄斎」
明治、大正期の文人画家、儒学者。日本最後の文人と謳われる。京都生まれ。


(注2) 「スマイソン」
1887年に創業、ロンドンのニューボンドストリートに店舗を構える英国王室御用達の文房具店。特に1892年に開発された薄い青色の「フェザーウェイトペーパー」と呼ばれる紙は、スマイソンの代名詞。


 
 

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−近ごろのマエストロ−
「5月は植木の季節である。私は季節を感じることができる実がなる木を好み、イチジクやグミを植えている。先日、サクランボの木を新たに植えた。生きるものを育て、愛情を注ぐことで人の心は安らぎを得られる。ゴールデンウィーク前には休暇をとり、沖縄で過ごした。感激した訪問地は「ネオパークオキナワ」。熱帯地方の動植物が自然のまま飼育され、子供と一緒に、生き物と垣根なしに触れ合えた。都会で暮らす私にとっては、実に貴重にして、大切な機会であった」

■みなさんからの質問待ってます!
仕事から家庭、恋愛、そしてファッション・・・・・・etc.、日ごろ読者のみなさんが抱える悩み、疑問など、相談したいことを何でも教えてください。マエストロ赤峰がズバッと解決いたします!インターネットの場合は[ www.oceans-ilm.com ]へアクセスのうえ、「NEWS」から投稿してください。郵送の場合はハガキに @相談したいこと A氏名(ふりがな) B住所 C年齢 D職業 E電話番号 Fメールアドレス G「オトナ相談室」への感想 を明記し、〒162-0825東京都新宿区神楽坂6-42 オーシャンズ編集部「オトナ相談室係」まで。

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赤峰 幸生 (あかみね ゆきお)

● イタリア語で「出会い」の意のインコントロは、大手百貨店やセレクトショップ、海外テキスタイルメーカーなどの企業戦略やコンセプトワークのコンサルティングを行う。2007年秋冬からは『真のドレスを求めたい男たちへ』をテーマにした自作ブランド「Akamine Royal Line」の服作りを通じて質実のある真の男のダンディズムを追及。平行して、(財)ファッション人材育成機構設立メンバー、繊研新聞や朝日新聞などへの執筆活動も行う。国際的な感覚を持ちながら、日本のトラディショナルが分かるディレクター兼デザイナーとして世界を舞台に活躍。 Men’s Ex、OCEANSに連載。MONOCLE(www.monocle.com)、MONSIEUR(www.monsieur.fr)へも一部掲載中。

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