AKAMINE BLOG

メンズファッションディレクター 赤峰 幸生のBLOGです。

2008年11月24日(月)

OCEANS 1月号連載 AKAMINE STYLE 目覚めよ、日本の男たち! [OCEANS掲載記事]

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マエストロ赤峰の「オトナ相談室」
仕事、家庭、子育て、そして愛・・・・・・などなど。
30〜40代のオーシャンズ世代にもなれば、少なからず何かしら悩みのタネは持っているもの。
そんな皆様の“駆け込み寺”として開設されたのが、このオトナ相談室。
皆さんの質問にお答えするのは、“人生のマエストロ”こと赤峰幸生氏。
今月も痛快なご意見で迷えるオーシャンズ読者に救いの手を差し伸べてくれるハズ!
では皆さん、ご一緒に! 教えてっ、マエストロ!


今月のテーマ
“芸術鑑賞のすすめ”

[今月の質問]
はじめまして。赤峰さんの痛快な話を毎月、楽しませていただいております。私は洋服が好きで、流行にも関心が高く、父親になってからはオーシャンズをよき参考書として拝読しています。しかし、自分のファッションセンスに自信がなく、よく妻にも色合わせがチグハグでセンスがないと厳しい指摘をされます。センスは磨いてゆくものと、頭ではわかっていても具体的にはどうしたらよいかわかりません。お目にかかったことはありませんが、師と仰ぐ赤峰さんに、ぜひ教えていただきたいと存じます。よろしくお願いします。(34歳・埼玉県在住・食品メーカー勤務・K・Tさん)

Q.いやぁ、センスですか。これは、また厳しいですねっ!色合わせのセンスを磨くコツ。マエストロ、ずばり、なんですか?
 この野郎っ!何でもコツだコツだとすぐに答えを求めやがって。たまにはコツコツ勉強してみねぇか!とはいえ、私もその道のプロであるという自負がある。確かに色合わせを含めた洋服のセンスは一朝一夕によくなりはしない。そもそも、生まれや育ちなどの生活環境だって大きく影響する。最も身近な存在である父親、そして周りの人の着こなしを見て、自然と身に付く。特にイギリス人やイタリア人は、そうして服の着方を学ぶ。対して、アメリカ人はどうか。服飾文化が浅い国だから、そうはいかない。結果、マニュアル本が多く出されているわけだ。日本人も後者に属する。日本ほど事細かにファッションをレクチャーする雑誌が発行されている国はない。しかし、いくら雑誌を熟読したって、根本的なファッションセンスの向上は望めない。それは、ただ受動的になって何かの真似をしているにすぎないからだ。

Q.なるほど、これは手厳しいお言葉。ただ真似をするのではダメだと。では、マエストロを真似しましょう!
 てめぇ、大ばか野郎っ!だから真似するなと言っただろう。服の色合わせのセンスを高めるためには「日常でのものの見方」から訓練するしかない。 人は無意識に色を見ている。しかし、意識して色を見ると、まったく違う視覚が養われる。特に意識して見てほしいのは「自然の色」である。例えば、空の色。晴れた日の空の青でも一日として同じ青はない。そして、食材の色。例えば、大根だ。真っ白ではなく、言葉では形容しにくい。それは大根の白だ。ほかには、さまざまな明度のグレーが見える河原の石ころ。それから紅葉の色。赤だったり、黄色だったり、茶色だったり・・・・。紅葉とは、重なり合う色のハーモニーだ。色彩学うんぬんと難しいことを学ぼうとする必要はない。自分の目が捉えた自然を意識して見て、記憶することが大事だ。安易にカメラに収めては意味をなさない。頭の中に収めるのだ。自然の色とは、この世界で最も美しい色である。センスを磨くにはより多くの自然の色を見て、それらを蓄積していかなければならない。

Q.なるほど。「自然の色」ですね!だからマエストロの事務所には自然の「緑」が多いんですか?
 てめぇ!よく見てやがる。そのとおりだ。私は日ごろから自然の色を意識して見ている。オフィスの窓から見える風景には緑が欠かせない。緑がない環境は私にとってはありえないのだ。そして、服の生地を見る仕事は必ず、光が美しい朝に行う。朝の光は夜の蛍光灯とは比べ物にならないほど透明だ。色は光、つまり太陽光の影響を受ける。例えば、稲。稲は太陽の光を受けて金色に輝いて見えるだろう。夜の盛り場のネオンのような人工的な色を見ても、色彩感覚のセンスは養えない。身の回りにある自然の色こそが、本当に美しい色だということを肝に銘じてほしい
 

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(→)この日は、マエストロが昔から足しげく通う「印度料理ムルギー」にて、お気に入りの名物カリーをパクリといったところをパチリ。ここのカリーは独特の辛さで、病みつきになった人は数知れず。なんとマエストロ、このお店で戦後を代表する時代小説・歴史小説作家であり美食家でも知られた池波正太郎を見かけたこともあるとか。ムルギーは昭和26年の創業以来、昔懐かしい味を守り続けるカリー専門店だ。東京都渋谷区道玄坂2-19-2 TEL.03-3461-8809

Q.そういえば、僕も子供のころに見た空の色のことは覚えてる気がします。今となってはそんなものには見向きもしなくなってしまいました。
 都会に住みコンクリートに囲まれた環境に身を置くことで「自然の色」を見る目は失われてゆく。そして、その傾向は、田舎から都会に出てきた人に特に顕著だ。子供のころは、空の青、木々の緑にもっと敏感で、美しいと感じる時間が持てていたはずだ。しかし、今はコンクリートのグレーがモダンだと勘違いをしてしまう。コンクリート打ちっぱなしの、デザイナーズマンションがお洒落だなんて、錯覚をしてしまう。イタリアのフィレンツェは、屋根の色がレンガ色で統一されている。自然な色だ。マクドナルドの看板も赤ではなく茶。市の条例で光るものは禁じられているのである。東京は街中が工業的なもので溢れている。だからこそ、自然の色を見ることを意識しなければならない。服の色合わせを上達させたいなら、それは日常生活の中の色をもっと注意深く観察する必要があるのだ。

Q.もっと身の周りの色を意識する。それこそが、コツなんですね。ところで、色といえば絵画。芸術鑑賞も訓練になるのですか?
 そのとおりだ。芸術鑑賞は大いにしなさい。しかし、これだけは忘れないでほしいことがる。それは、先ほど言った「自然の色」を見るということも、私に言わせれば芸術鑑賞だ。有名な絵画を見ることだけが芸術鑑賞ではない。しかし、絵画を見ることは色彩感覚を磨くことに通じる。しかし、なかには芸術鑑賞と言われて、自分とは縁のないことだと思う方もいらっしゃるだろう。しかし、私は身の周りにある色を見る延長で気軽に絵画を見ることをおすすめしたい。ただし、絵画を見るときは、注意して色を見てほしい。最近ではフェルメール展とピカソ展に行った。フェルメールは「光と影の画家」と言われるが、光を受けたものの美しさを見事に捉えている。そして、ピカソ。ご存知のとおり、実に美しい絵画ばかりだ。箱根の彫刻の森美術館にはピカソの写真が展示されている。芸術に優れた才能を持つ人は服の着こなしもすばらしい。白のシャツとモカシンは、ピカソほどに格好よく着こなせる人はいないのではないか。芸術家はたいていがお洒落だ。それはなぜか。色を見る目、色を見る感性が敏感で優れているからだ。色使いとお洒落はつながっている。だから、服の色合わせは絵画を見て学ぶことができる。そして、そのためには色を意識して絵画を見ることが大事。服飾を生業とする私に影響を与えた画家は数知れない。フィンセント・ファン・ゴッホの「糸杉」は筆のタッチが荒く、ハリスツイードのざっくりとした素材感を思い起こさせる。ポール・ゴーギャンの色のトーンは土臭い。泥のナチュラルな色だ。ラウル・デュフィは陽気でリズミカルな作風で、クチュールデザイナーにも多大な影響を与えた。絵画と対峙したときに何かを訴えかけてくるか、それを自分流にキャッチする。あくまで「自分流」が基本だ。そのためには美術館に足を運び、生で絵画を見る。その空間、距離感が大事。一枚の絵画を目の前にして、近づいたり離れたり、いろいろな距離感で見てみる。そうやって、画家の色使いを頭に記憶するのだ。そうすると、服をコーディネイトするとき、頭の記憶装置から自然と色の合わせ方が出てくるようになる。芸術鑑賞というと少し高尚な行為のように思われるが、服の色使いを学ぶ気持ちで気軽に美術館を訪れてほしい。

Q.色合わせのセンスを磨くべく、もっと気軽に芸術鑑賞をする。やっぱり日本人は、そもそも「芸術力」が乏しいですもんね。
 いや、そんなことはない。日本にも古くから、優れた芸術文化がある。たとえば、尾形光琳や俵屋宗達。彼らは世界に誇れる日本の美を見事に表現している。しかし、日本人はそういった古典作品を見るときに、まるで異国の人が描いたもののように見てしまう。彼らと同じ日本人のDNAを持っているにもかかわらず、だ。“侘び寂び”といった日本特有の情緒を解する心が失われつつある今、それは仕方のないことかもしれない。日本では何でも新しいものをよしとする風潮が強い。街はスクラップ&ビルドを繰り返す。だからこそ、日本古来の古き良きものがまだあるうちに、ぜひ目を向けてほしい
 
 
Q.注意深く「日常」を見回す。色合わせのセンスとはごく身近な訓練で磨かれる。さすがは、マエストロっ!
 日常の中で自然の色を意識して見ること、そして芸術作品に触れること。これは、私に言わせれば同義である。洋服の色合わせにおけるセンスを磨きたいのなら、あなたの「日常でのものの見方」を変えなさい。それこそが、赤峰流の芸術鑑賞である。赤峰流の芸術鑑賞とは、「見えるものとの対話」。普段、無意識で漫然と眺めている「色」が、あなたに何を語りかけてくるか注意深く読み取れるようにしてみなさい。それは、あなた流でかまわない。美しい色は、あなたの身の回りにある。あなたは無意識にそれを見落としてきただけ。美しくお洒落な色合わせのセンスは、そうやって「対話」を続けることで自然と磨かれていく。例えば、ネイビーという色。センスが磨かれれば、このネイビーひとつとっても、さまざまなネイビーがあることに気づく。もし、そこから自分に似合うネイビーを見つけることができるなら、それはおそらく究極の色合わせへの第一歩だろう。
 
 

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−赤峰幸生×白井俊夫 トークイベント−
今月は我らのマエストロが登場するトークイベントの情報をご紹介。赤峰氏とお話されるのは、1866年に日本で初めての洋品店として創業して以来、服飾専門店の歴史を140年以上切り拓いてきた「信濃屋」の究極のバイヤー・白井俊夫さん。白井さんはメンズ服飾界でも絶大な支持を得る権威的存在。テーマは「紳士の流儀」。開催日時は12月21日(日)午後4時から。会場は信濃屋馬車道店にて(定員30名様)。トークショーの後は、午後6時30分より楽しいパーティも予定(会費制)。また、パーティには、アッ!と驚くスペシャルゲストも登場するそうなので、読者のみなさまも奮ってご参加ください。参加ご希望の方は信濃屋馬車道店(TEL.045-212-4708)まで。

■皆さんからの質問待ってます!
仕事から家庭、恋愛、そしてファッションetc.・・・・・・、日ごろ読者の皆さんが抱える悩み、疑問など、相談したいことを何でも教えてください。マエストロ赤峰がズバッと解決いたします!インターネットの場合は[ www.oceans-ilm.com ]へアクセスのうえ、「NEWS」から投稿してください。郵送の場合はハガキに @相談したいこと A氏名(ふりがな) B住所 C年齢 D職業 E電話番号 Fメールアドレス G「オトナ相談室」への感想 を明記し、〒162-0825東京都新宿区神楽坂6-42 オーシャンズ編集部「オトナ相談室係」まで。

Posted by インコントロ STAFF at 00時00分

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朝日新聞土曜版be 赤峰幸生の男の流儀  『接客の神髄とは』 2014年8月2日(土)掲載

朝日新聞土曜版be 赤峰幸生の男の流儀 『接客の神髄とは』 2014年8月2日(土)掲載

朝日新聞be on Saturday『赤峰幸生の男の流儀‘「ビジネススーツ外スーツ」を’』2012年4月28日(土)掲載

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