AKAMINE BLOG

メンズファッションディレクター 赤峰 幸生のBLOGです。

2008年12月24日(水)

OCEANS 2月号連載 AKAMINE STYLE 目覚めよ、日本の男たち! [OCEANS掲載記事]

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マエストロ赤峰の「オトナ相談室」
仕事、家庭、子育て、そして愛・・・・・・などなど。
30〜40代のオーシャンズ世代にもなれば、少なからず何かしら悩みのタネは持っているもの。
そんな皆様の“駆け込み寺”として開設されたのが、このオトナ相談室。
皆さんの質問にお答えするのは、“人生のマエストロ”こと赤峰幸生氏。
今月も痛快なご意見で迷えるオーシャンズ読者に救いの手を差し伸べてくれるハズ!
では皆さん、ご一緒に! 教えてっ、マエストロ!


今月のテーマ
“超不況”

[今月の質問]
はじめまして。毎月この連載を楽しみに読ませていただいております。私は銀行員をしておりますが、周知のことではありますが、昨今は業界を問わず業績はとても厳しいことと思います。メディアでは「大不況」の前に「未曾有」という言葉が用いられるほど経済は深刻な事態に陥っています。会社では呪文のように経費削減という言葉が飛び交い、それでもやっぱりマイナス成長が続く。株価は下がり、ものは売れない。いったいいつまで続くのかと不安な気持ちでいっぱいです。そこで赤峰さんにぜひお尋ねしたいことがあります。まさに到来してしまった“超不況”の時代を、どのような気構えで乗り越えていけばよいのか教えていただきたいと存じます。よろしくお願いします。(37歳・東京都在住・大手銀行勤務・K.M.さん)

Q.うわぁ、これまた壮大なテーマ!不況の乗り越え方ですって。僕も答えを知りたいです!マエストロ、早く教えてっ!
 てめぇは大ばか野郎かっ!ピーチクパーチクとわめきやがって。いつもいつもすぐ答えを求めやがる。てめぇの頭でものを考えるってことを知らねぇのか!まぁとはいえ、お前のようなうすらとんかちですら、この不況を肌で感じ取っているくらいだ。世の中の人々にとって深刻な問題であることは事実だろう。アメリカのリーマンショックに端を発した金融危機は大変なスピードでグローバルに進み、世界経済は混乱状態にある。日本経済も例外ではなく、文字どおり危機的状況を迎えている。周知のとおり、業界を問わずサブプライム問題の影響は大きい。本来であれば、この危機を乗り切るためには、国民を主導する強いリーダーが必要だ。しかしながら、先のアメリカ大統領選に勝利したバラク・オバマ氏の存在とは対照的に、我が国には今、よきリーダーがいない。コロコロと首相が代わる異例の事態に加え、最近はというと、度重なる麻生氏の失言騒動を機にその求心力の無さが一気に露呈した。矢継ぎ早に金融対策を打ち出す欧米と比べ、そうこうしているうちに日本は二歩も三歩も遅れをとっている。民間に元気のなくなった今こそ、政府の出番である。しかし、こんな状況になっても、官邸主導の国家戦略がまるでない。この不況のど真ん中で、我々が頼ることができるものは何もひとつない。そう、これは紛れもなく未曾有の危機である。

Q.ええっ!何ということでしょう。これじゃあ、国民は孤立無援・・・・・。こんなときはマエストロ、じゃんじゃん株に手を出し、将来に備えるべきなのですね!
 てめぇは、本当に「超」が付くほどのばか野郎か!そうだ。“超ばか”野郎だ。何がじゃんじゃん株に手を出し、だ。まったく開いた口が塞がらねぇとはこのことだ。この不況を生んだ原因をちっとも理解していないのだな。まぁよい。お前が理解しているようなことなら、そもそも世の中はこんな混乱には陥ることもなかっただろう。誤解を恐れずに言えば、ファンドビジネスはあんまりいいもんじゃない。資産運用と言えば聞こえはいい。しかし、それは根本的にパチンコや競馬などの賭博となんら変わらない。そもそも、稼ぎとはあなたが汗水垂らして働いた、その対価であるはずだ。しかし、人は時として何の苦労もせずに金儲けができる、そんな儚い夢を抱きがちだ。それを否定するわけではないが、そんなことがまかり通るほど、この世の中は甘くない。つまり、そんな稼ぎ方は、私に言わせれば「分相応」の稼ぎ方ではないのだ。「分相応」つまり、「身の丈」である。洋服を語る際にもよく使う言葉であるが、何事にも身の丈というものがある。稼ぎ方にも然り、である。この不況を肌で感じて言えるのは、国家、企業、そして個人すべてが「長い間、身の丈に合わない悪い夢を見てきた」ということだ。結局、この不況が到来するまで誰一人として目を覚まさなかった。今もなおその夢を見続けている愚かな者も少なくないのではなかろうか。だからこそ、私はこんな輩にこう言いたい。「いい加減に目を覚ましやがれ、このばか野郎!」と。
 

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(→)世界を覆い尽くさんとする不況という名の暗い闇。まるでその闇に転がり落ちていくように、株価は今日も低迷を続けている。この日はマエストロを、東京駅付近にある株価のチェッカーボードの前でパチリ。そして、偶然にもチェッカーボードの向かいにあった宝くじ売り場には、この「超不況」を象徴するかのような長蛇の列。そんな光景を奇しくも目の当たりにしたマエストロは、その先にいったい何を見たのでしょう。

Q.なるほど・・・・むにゃむにゃ・・・・。僕らは悪い夢にうなされていた。今こそ目を覚まさないと。でも、もう少し、寝させて・・・・むにゃ・・
 てめぇ、この野郎がっ!オレの話を聞きながら居眠りをするとはまったくいい度胸をしてやがる。お前はいつもそうやって、私の言葉の“重み”を台無しにしてしまう。そんなに、オレの話が退屈かっ!いいかげんに目を覚ましやがれっ!このばか野郎がっ!まぁ、そうは言っても今この国はそれほど深刻なのかもしれないな。おそらく、多くの人々がこうやって寝ぼけているのだろう。業績の振るわない企業がその典型的な例である。ご存知のとおり企業はそのほとんどが、来期の目標やその達成度合について考える際、“昨年対比”を基準にする。数値的な検証しかしないのだ。それも何の疑いもなしに、である。それが常識なのだ。しかし、そもそもその判断基準は正しいのか、それを疑うことが必要だ。それがないから、手段を問わない売り上げ至上主義の経営戦略が行われ、企業はその力以上の売り上げを記録してしまう。そして、それが昨年対比の基準に加味されていくのだ。企業が「身の丈以上」の経済活動を繰り返していくとどうなるか。それは日本経済の現状を見れば明らかであろう。そんなふうにして、企業は元気を失い、弱りきっている。そして弱りきったその体に、何の戦略もなしに経費削減というムチを打ち続ける。これではあまりに酷すぎないか。だからこそ、企業にはこれまでの常識に捕らわれない、経済活動が必要なのだ。ということは、である。我々個人それぞれに求められることも自ずと見えてくるはずだ。
 未曾有の不況を乗り越えるために、最も必要なこととは、「己の身の丈を知り、いかに慎ましく生きるか」である。そのために、“自立”という“成熟”が求められていると言えるだろう。

Q.“自立”という“成熟”ですか。それは難儀な時代ですねぇ。でも、そんなこと言ってられません。マエストロ、目が覚めましたよ!
 遅いっ!てめぇはようやく目を覚ましやがったのか。まぁ、よい。そもそもお前にはあまり期待していないからな。そんなことよりも、具体的な話を進めるとしよう。既述のとおり、「慎ましく生きる」ために我々には“自立”という“成熟”が必要だ。
 まず考えなければならないのが、己の価値を検証し続けることだ。これは、自分がいったい何者かを問い続けることでもある。例えばそれは、会社員としての自分の存在や仕事が、世の中の人々の役に立っているのかどうかを問うことでもある。私とて、自身のものづくりを通して、いかに会社の売り上げがよかろうが、常に(どういうかたちであれ)皆さまのお役に立てているかを自問するようにしている。仮に業績面での成功を収めようが、決してつけ上がるようなことはない。そうやって真摯な気持ちを持ち続けることが、己の価値を高めることにつながると信じているからだ。
 自分自身の価値を自問するということは、つまり現在のあなたの収入が、本当にふさわしいのかを自問することでもあろう。過大評価するのも、過小評価するのもいけない。それは会社としても同じ。真摯な態度で自社の売り上げをもう一度見直してほしい。それが本当に会社の価値=「身の丈」にふさわしいのか。考え抜いたうえで目標を立て、そして全身全霊で実行していくのだ。一時の難をしのぐためのカンフル剤的対策など御法度だと心得たい。この不況時において、対症療法など意味をなさないのだ。しかし、会社とは組織である。もちろん組織の中には、抜本的な変革を意味する原因療法に対するさまざまな障害があるだろう。しかし、それにくじけてはいけない。これからの時代は“寄らば大樹の陰”ではいけないのだ。誰かに頼るという甘い考えを捨て、たとえ独りであっても己が先に立ち行動していくことが求められる。既成概念に捕らわれず、ゼロベースで考えていく力と勇気が求められるのだ。この強い信念こそが、我々に求められている“自立”であり“成熟”の源となるのだ。

Q.己に対する真摯な評価、そして既成概念に挑む勇気ですか。マエストロ、さすがですっ!
 ふむ。ようやく、理解したようだな。己に対する真摯な評価と既成概念に挑む勇気があれば、自ずと道は開けよう。前者はあなたに、いかなる困難であろうとそれをこらえきる揺ぎない精神を、後者はそれを打破するための最も効果的な方法をもたらすはずだ。「身の丈」とは決まりきったものではなく、そうやって日々成長させるもの。この“超不況”の時代に立ち向かうために、己の価値を高めていこうではないか。かつて「アメリカがクシャミをすれば日本は風邪あるいは肺炎になる」という、我が国を揶揄する言葉があった。そんな時代に今こそ別れを告げるべきだ。さあ、今こそ襟を正そうではないか。オバマ氏ではないが、我々日本人は今こそ“自立”という“成熟”を果たす時なのである。何者にも身を委ねないこと。我々ががこの不況を乗り越えられるかは、己の足で立つことができるかどうかにかかっている
 
 

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−近ごろのマエストロ−
夢中になって読み進めている書籍の中に「おいしさの表現辞典」(東京堂出版)というものがある。これは、「甘い」「酸っぱい」「苦い」「うまい」などの基本的な表現から「すっきり」「まろやか」「香ばしい」などさまざまな感覚表現まで、おいしさの表現を集大成したもので、気の利いた言い方をしたいというときに役立つ味覚表現の辞典である。味覚に対する表現の多さに驚きながら読み進めている。食事をしたときに「うまい」というひと言で片付けるのは簡単だ。しかし、それを異なる言葉で表現することに、“心の豊かさ”を感じてしまうのだ。私はこの本に出会って、言葉や表現というものに繊細になるということの大切さを改めて思い知った気がする。

■みなさんからの質問待ってます!
仕事から家庭、恋愛、そしてファッションetc.・・・・・・、日ごろ読者の皆さんが抱える悩み、疑問など、相談したいことを何でも教えてください。マエストロ赤峰がズバッと解決いたします!インターネットの場合は[ www.oceans-ilm.com ]へアクセスのうえ、「NEWS」から投稿してください。郵送の場合はハガキに @相談したいこと A氏名(ふりがな) B住所 C年齢 D職業 E電話番号 Fメールアドレス Gオトナ相談室への感想 を明記し、〒162-0825東京都新宿区神楽坂6-42 オーシャンズ編集部「オトナ相談室係」まで。

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2008年12月06日(土)

MEN'S EX 1月号 平成の寺子屋 赤峰幸生の上級ファッション塾 連載vol.03 [MEN'S EX 掲載記事]

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「男が着るべきコート」

真のクラシックを追求し、服のみならず、生き方そのものに自らのスタイルをもつ男、赤峰幸生。氏が考える、男のお洒落を伝授します。第3回は、男が着るべきコート、についてのお話です。

 
 
 

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Q 先生ならではのコートを教えてください
リバーシブルのステンカラーコートです
「よく着るのは、アルスター、チェスターフィールド、それからリバーシブルのステンカラーです。ステンカラーは私の場合、ほとんどリバーシブルに限定されます。ハリスツイードの綿のポプリン、ヴィンテージのバーバリーでチェックとギャバジン、綿ギャバジンとローデンクロスとのリバーシブルなどです。リバーシブルなステンカラーコートを着るときはドレッシーな格好に合わせます。日本ではあまりみられないですけど、英国では定番なんです。裏が見えたりして洒落ていますよね。私はこのリバーシブルのステンカラーが好きなんです」

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Q コートの基本素材を教えてください。
カシミア、キャメル、ウールです
「カシミアやキャメルなどの獣毛系、それとやはりウールです。ウールは毛掻き方の違いでメルトン、ベロア、モッサ仕上げの大きく3つにわけられます。メルトンは毛を縮ませて密度を濃くしたもの、ベロアは毛足が立っていて毛の流れがないもの、モッサはローデンコートのような、毛足が長くて一方通行で流れているものを指します。毛掻き方にまでこだわると、素材選びも楽しくなります。」

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Q 先生流のコートのこなしを教えてください
男らしく存在感のある着こなしが基本です
「コートは最も分量の大きいアイテムだから、存在感が大切なんです。最近のコートはジャケットと同じようにどんどん肩が入ってしまっていますが、そういうのって、私個人的にはコートを着ている感じがあまりしなく、あまり好きではありません。肩幅が出ていて存在感のあるコートがカッコいいと思います。また、温暖化もあって軽量化が進んでいますけど、差し引いても500g/m以上のウェイトはほしいですね。ペラペラしていると、オーバーコートには見えないですからね。」ちなみに右側の写真は、マフィアの真似をした赤峰先生。
 
 

■コートの基本モデル アルスターの魅力とは?
M.E.  今回は、コートのアカミネイズムを伝授していただきたく思います。よろしくお願い致します。
赤峰  了解しました。まずコートの起源からお話ししますと、ひとつは英国の陸軍から生まれたピークトラベルのダブルブレストで、エポーレット付きのコートがあげられます。いわゆるブリティッシュウォーマーと言われているものです。もうひとつは、皆さんご存知のチェスターフィールドコートです。これは貴族の人たちがイブニングの上に着ていたコートが始まりです。大きなところでは、この2つが入り混じったところから、今日のコートというアイテムが存在しています。
M.E.  勉強になります。
赤峰  これらを総称してオーバーコートと呼んでいます。その代表的なモデルが、ダブルブレステッドでピークトラペルの6つボタン、現在のオーバーコートの原型であるアルスターコートです。今は簡略化されて袖のカフがないものもありますが、本来は袖にカフが付いているものが基本です。また、バックベルトが付いたものもありますけど、私が今日着ているのはベルトなしのタイプになります。
M.E.  そういえば、赤峰先生はバックベルトを好みませんよね。
赤峰  ええ。オーバーコートはバックスタイルのフレア感によって、コートの美しさ、色気が表現されるものと考えているからです。バックベルトが付いていると、全体的に後ろが重たく見えるので、ベルトなしのシンプルで自然な形が好きなんです。が、これはあくまで個人の好みの問題です。
M.E.  なるほど。

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コートの色気は、肩幅のある存在感、フレアしたバックスタイルにあります

(←)モアブルックのベロアフィニッシュ生地でス ミズーラしたリヴェラーノ&リヴェラーノのアルスターコート、シャルベのシャツ、アカミネロイヤルラインのコーデュロイパンツ、ストール マンテラッシの靴(以上赤峰さん私物) カシミアニット/バランタイン11万250円(アオイ)

■それぞれの国で人気のコートを知っておく
赤峰  また、カシミアなどのチェスターフィールドがフォーマルのときに着るコートという位置づけなのに対し、アルスターコートは日常的に着るコートという位置づけで、ドレスのシーンだけに着るものと限定されません。今日の私のようなカジュアルなスタイルでも楽しめます。こなしも、ビタッとボタンを全部留めて着る場合もありますし、半分だけ襟を立てることもあれば、フルに立てることもあります。ダブルブレストの襟に、いかに自分らしさを出せるかが大切なんです。それともうひとつ。冬の寒い日には、グローブは不可欠です。バランス的に、素手だと手先が寒く見えてしまうからです。
M.E.  なるほど。ところで、それぞれの国を代表する形ってあるんですか?
赤峰  アメリカはステンカラーのイメージが強いですよね。「ティファニーで朝食を」のジョージ・ペパートが着ていたモデルで、白黒の千鳥のスーツに白シャツ、ブラックタイ、それはオフ白のステンカラーコート、みたいな感じです。それの影響を受けて日本でもステンカラーは人気があります。一方、ヨーロッパ全体にいえることは、ダブル、シングルにかかわらず、テーラード襟のコートが中心だということ。胸元をきっちり開ける文化なんです。イタリア人はアルスター、イギリス人はどんなときでもボロボロのチェスターフィールド、といったところでしょうか。あと、アメリカ人の真冬だと、キャメル100%とかキャメル混のポロコートかな。ポロコートはイギリス生まれですけど、アメリカで育ったみたいなところがあって、イギリスではあまり見かけません。アメリカ人の影響を受けてイタリアでは結構見かけますが、フランスでは見ないですよね。
M.E.  各コートにそれぞれ国のイメージがあるというのは、自分のスタイルを築くうえで勉強になります。
赤峰  あと、最近はジャケット同様にコートも肩幅が狭まっていますが、オーバーコートは肩幅が出ていて存在感があってこそカッコいいものだと思います。あとは、ウェイト。私が今日着ているのは700g/mですが、最低でも500g/mはほしいところです。コートは風格が大切。ある程度どっしりしていないと、オーバーコートには見えないですからね。
 
 

◆赤峰先生のお気に入りコート◆

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肉厚キャメルのバルマカーンタイプ
600g/mの肉厚なキャメル100%の生地を贅沢に使った、バルマカーンタイプのコート。時代やシーンを選ばずに着られる、1着です。42万円/アカミネロイヤルライン(インコントロ)

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リヴェラーノで仕立てたウールカシミアのアルスター
リヴェラーノ&リヴェラーノで8年前に仕立てたという、カシミアウールのアルスターコート。ウェイトは750g/m。シルエットもどっしりした、赤峰先生を象徴する1着です。(赤峰先生私物)

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キャバリーツイルのロングアルスター
ヘビーウェイトのキャバリーツイル製で、肩幅広めのロングアルスター。「ロング丈なので、後ろのフレアなラインがきれいに出ます」と赤峰先生。23万円/アカミネロイヤルライン(インコントロ)

◆進化した今どきのオススメコート◆

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トレンチの名門が手掛けたシングルトレンチ風コート
伊の名門ヘルノの、中綿入りコート。ウール85%、コットン15%。「肩は入っているけれど、これはカッコいい。非常にきれいなラインをしています」と赤峰先生。11万250円(ビームスF)

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伊の正統スタイルのアルスターコート
英国生地を使用したアルスターコート。「今のバランスで表現したクラシックなアルスターの基本。仕立ても素晴らしいし、よくできていますよね」。15万5400円/サルトリア パルマ(ビームスF)

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感覚で羽織れる軽快カシミアコート
ナポリの新星の、カシミア100%による4つボタンの変形チェスター。「オーバーというよりサラリと羽織る、ジャケット感覚のコートですね」。36万5400円/スティレラティーノ(ビームスF)

今月のおさらい

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 オーバーコートはバックスタイルのフレア感によって色気が表現されるもの
 男のコートスタイルの肝は襟にあり。襟で自分らしさをどう表現するかが大切
 何よりも存在感が大切なコートは、肩幅の広いものを着てこそ男である
 生地のウェイトは500g/m以上、それ以下だとコートの存在感が生まれない

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MEN'S EX 1月号記事 あの人が夢中になっているのは「日本製」でした!“私的”傑作品 [MEN'S EX 掲載記事]

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インコントロ代表 赤峰幸生さんの“私的”傑作品
アカミネロイヤルラインの尾州産ファブリック

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ここが傑作!
着るほどなじむ強い打ち込み
赤峰さんが所有のヴィンテージ生地などを見本に、完成した入魂のウールモヘアトニック。目付け440gのコシのあるタッチは、体の一部のようになじみます。

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日本だからできる肉厚素材

時代を超えて着られるクロージングを作り続ける赤峰さんは、昨今のインポート生地が軽くなってきたことに不満だったとか。「そこで、織物の名産地である尾州で、自らオリジナル生地を作ることにしました。型崩れやシワのつきにくい、タフな素材は、もう海外では作れません!」。ラペル周りに出る美しいドレープが魅力です。スーツ価格18万5155円(参考上代)(インコントロ)

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2008年11月24日(月)

OCEANS 1月号連載 AKAMINE STYLE 目覚めよ、日本の男たち! [OCEANS掲載記事]

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マエストロ赤峰の「オトナ相談室」
仕事、家庭、子育て、そして愛・・・・・・などなど。
30〜40代のオーシャンズ世代にもなれば、少なからず何かしら悩みのタネは持っているもの。
そんな皆様の“駆け込み寺”として開設されたのが、このオトナ相談室。
皆さんの質問にお答えするのは、“人生のマエストロ”こと赤峰幸生氏。
今月も痛快なご意見で迷えるオーシャンズ読者に救いの手を差し伸べてくれるハズ!
では皆さん、ご一緒に! 教えてっ、マエストロ!


今月のテーマ
“芸術鑑賞のすすめ”

[今月の質問]
はじめまして。赤峰さんの痛快な話を毎月、楽しませていただいております。私は洋服が好きで、流行にも関心が高く、父親になってからはオーシャンズをよき参考書として拝読しています。しかし、自分のファッションセンスに自信がなく、よく妻にも色合わせがチグハグでセンスがないと厳しい指摘をされます。センスは磨いてゆくものと、頭ではわかっていても具体的にはどうしたらよいかわかりません。お目にかかったことはありませんが、師と仰ぐ赤峰さんに、ぜひ教えていただきたいと存じます。よろしくお願いします。(34歳・埼玉県在住・食品メーカー勤務・K・Tさん)

Q.いやぁ、センスですか。これは、また厳しいですねっ!色合わせのセンスを磨くコツ。マエストロ、ずばり、なんですか?
 この野郎っ!何でもコツだコツだとすぐに答えを求めやがって。たまにはコツコツ勉強してみねぇか!とはいえ、私もその道のプロであるという自負がある。確かに色合わせを含めた洋服のセンスは一朝一夕によくなりはしない。そもそも、生まれや育ちなどの生活環境だって大きく影響する。最も身近な存在である父親、そして周りの人の着こなしを見て、自然と身に付く。特にイギリス人やイタリア人は、そうして服の着方を学ぶ。対して、アメリカ人はどうか。服飾文化が浅い国だから、そうはいかない。結果、マニュアル本が多く出されているわけだ。日本人も後者に属する。日本ほど事細かにファッションをレクチャーする雑誌が発行されている国はない。しかし、いくら雑誌を熟読したって、根本的なファッションセンスの向上は望めない。それは、ただ受動的になって何かの真似をしているにすぎないからだ。

Q.なるほど、これは手厳しいお言葉。ただ真似をするのではダメだと。では、マエストロを真似しましょう!
 てめぇ、大ばか野郎っ!だから真似するなと言っただろう。服の色合わせのセンスを高めるためには「日常でのものの見方」から訓練するしかない。 人は無意識に色を見ている。しかし、意識して色を見ると、まったく違う視覚が養われる。特に意識して見てほしいのは「自然の色」である。例えば、空の色。晴れた日の空の青でも一日として同じ青はない。そして、食材の色。例えば、大根だ。真っ白ではなく、言葉では形容しにくい。それは大根の白だ。ほかには、さまざまな明度のグレーが見える河原の石ころ。それから紅葉の色。赤だったり、黄色だったり、茶色だったり・・・・。紅葉とは、重なり合う色のハーモニーだ。色彩学うんぬんと難しいことを学ぼうとする必要はない。自分の目が捉えた自然を意識して見て、記憶することが大事だ。安易にカメラに収めては意味をなさない。頭の中に収めるのだ。自然の色とは、この世界で最も美しい色である。センスを磨くにはより多くの自然の色を見て、それらを蓄積していかなければならない。

Q.なるほど。「自然の色」ですね!だからマエストロの事務所には自然の「緑」が多いんですか?
 てめぇ!よく見てやがる。そのとおりだ。私は日ごろから自然の色を意識して見ている。オフィスの窓から見える風景には緑が欠かせない。緑がない環境は私にとってはありえないのだ。そして、服の生地を見る仕事は必ず、光が美しい朝に行う。朝の光は夜の蛍光灯とは比べ物にならないほど透明だ。色は光、つまり太陽光の影響を受ける。例えば、稲。稲は太陽の光を受けて金色に輝いて見えるだろう。夜の盛り場のネオンのような人工的な色を見ても、色彩感覚のセンスは養えない。身の回りにある自然の色こそが、本当に美しい色だということを肝に銘じてほしい
 

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(→)この日は、マエストロが昔から足しげく通う「印度料理ムルギー」にて、お気に入りの名物カリーをパクリといったところをパチリ。ここのカリーは独特の辛さで、病みつきになった人は数知れず。なんとマエストロ、このお店で戦後を代表する時代小説・歴史小説作家であり美食家でも知られた池波正太郎を見かけたこともあるとか。ムルギーは昭和26年の創業以来、昔懐かしい味を守り続けるカリー専門店だ。東京都渋谷区道玄坂2-19-2 TEL.03-3461-8809

Q.そういえば、僕も子供のころに見た空の色のことは覚えてる気がします。今となってはそんなものには見向きもしなくなってしまいました。
 都会に住みコンクリートに囲まれた環境に身を置くことで「自然の色」を見る目は失われてゆく。そして、その傾向は、田舎から都会に出てきた人に特に顕著だ。子供のころは、空の青、木々の緑にもっと敏感で、美しいと感じる時間が持てていたはずだ。しかし、今はコンクリートのグレーがモダンだと勘違いをしてしまう。コンクリート打ちっぱなしの、デザイナーズマンションがお洒落だなんて、錯覚をしてしまう。イタリアのフィレンツェは、屋根の色がレンガ色で統一されている。自然な色だ。マクドナルドの看板も赤ではなく茶。市の条例で光るものは禁じられているのである。東京は街中が工業的なもので溢れている。だからこそ、自然の色を見ることを意識しなければならない。服の色合わせを上達させたいなら、それは日常生活の中の色をもっと注意深く観察する必要があるのだ。

Q.もっと身の周りの色を意識する。それこそが、コツなんですね。ところで、色といえば絵画。芸術鑑賞も訓練になるのですか?
 そのとおりだ。芸術鑑賞は大いにしなさい。しかし、これだけは忘れないでほしいことがる。それは、先ほど言った「自然の色」を見るということも、私に言わせれば芸術鑑賞だ。有名な絵画を見ることだけが芸術鑑賞ではない。しかし、絵画を見ることは色彩感覚を磨くことに通じる。しかし、なかには芸術鑑賞と言われて、自分とは縁のないことだと思う方もいらっしゃるだろう。しかし、私は身の周りにある色を見る延長で気軽に絵画を見ることをおすすめしたい。ただし、絵画を見るときは、注意して色を見てほしい。最近ではフェルメール展とピカソ展に行った。フェルメールは「光と影の画家」と言われるが、光を受けたものの美しさを見事に捉えている。そして、ピカソ。ご存知のとおり、実に美しい絵画ばかりだ。箱根の彫刻の森美術館にはピカソの写真が展示されている。芸術に優れた才能を持つ人は服の着こなしもすばらしい。白のシャツとモカシンは、ピカソほどに格好よく着こなせる人はいないのではないか。芸術家はたいていがお洒落だ。それはなぜか。色を見る目、色を見る感性が敏感で優れているからだ。色使いとお洒落はつながっている。だから、服の色合わせは絵画を見て学ぶことができる。そして、そのためには色を意識して絵画を見ることが大事。服飾を生業とする私に影響を与えた画家は数知れない。フィンセント・ファン・ゴッホの「糸杉」は筆のタッチが荒く、ハリスツイードのざっくりとした素材感を思い起こさせる。ポール・ゴーギャンの色のトーンは土臭い。泥のナチュラルな色だ。ラウル・デュフィは陽気でリズミカルな作風で、クチュールデザイナーにも多大な影響を与えた。絵画と対峙したときに何かを訴えかけてくるか、それを自分流にキャッチする。あくまで「自分流」が基本だ。そのためには美術館に足を運び、生で絵画を見る。その空間、距離感が大事。一枚の絵画を目の前にして、近づいたり離れたり、いろいろな距離感で見てみる。そうやって、画家の色使いを頭に記憶するのだ。そうすると、服をコーディネイトするとき、頭の記憶装置から自然と色の合わせ方が出てくるようになる。芸術鑑賞というと少し高尚な行為のように思われるが、服の色使いを学ぶ気持ちで気軽に美術館を訪れてほしい。

Q.色合わせのセンスを磨くべく、もっと気軽に芸術鑑賞をする。やっぱり日本人は、そもそも「芸術力」が乏しいですもんね。
 いや、そんなことはない。日本にも古くから、優れた芸術文化がある。たとえば、尾形光琳や俵屋宗達。彼らは世界に誇れる日本の美を見事に表現している。しかし、日本人はそういった古典作品を見るときに、まるで異国の人が描いたもののように見てしまう。彼らと同じ日本人のDNAを持っているにもかかわらず、だ。“侘び寂び”といった日本特有の情緒を解する心が失われつつある今、それは仕方のないことかもしれない。日本では何でも新しいものをよしとする風潮が強い。街はスクラップ&ビルドを繰り返す。だからこそ、日本古来の古き良きものがまだあるうちに、ぜひ目を向けてほしい
 
 
Q.注意深く「日常」を見回す。色合わせのセンスとはごく身近な訓練で磨かれる。さすがは、マエストロっ!
 日常の中で自然の色を意識して見ること、そして芸術作品に触れること。これは、私に言わせれば同義である。洋服の色合わせにおけるセンスを磨きたいのなら、あなたの「日常でのものの見方」を変えなさい。それこそが、赤峰流の芸術鑑賞である。赤峰流の芸術鑑賞とは、「見えるものとの対話」。普段、無意識で漫然と眺めている「色」が、あなたに何を語りかけてくるか注意深く読み取れるようにしてみなさい。それは、あなた流でかまわない。美しい色は、あなたの身の回りにある。あなたは無意識にそれを見落としてきただけ。美しくお洒落な色合わせのセンスは、そうやって「対話」を続けることで自然と磨かれていく。例えば、ネイビーという色。センスが磨かれれば、このネイビーひとつとっても、さまざまなネイビーがあることに気づく。もし、そこから自分に似合うネイビーを見つけることができるなら、それはおそらく究極の色合わせへの第一歩だろう。
 
 

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−赤峰幸生×白井俊夫 トークイベント−
今月は我らのマエストロが登場するトークイベントの情報をご紹介。赤峰氏とお話されるのは、1866年に日本で初めての洋品店として創業して以来、服飾専門店の歴史を140年以上切り拓いてきた「信濃屋」の究極のバイヤー・白井俊夫さん。白井さんはメンズ服飾界でも絶大な支持を得る権威的存在。テーマは「紳士の流儀」。開催日時は12月21日(日)午後4時から。会場は信濃屋馬車道店にて(定員30名様)。トークショーの後は、午後6時30分より楽しいパーティも予定(会費制)。また、パーティには、アッ!と驚くスペシャルゲストも登場するそうなので、読者のみなさまも奮ってご参加ください。参加ご希望の方は信濃屋馬車道店(TEL.045-212-4708)まで。

■皆さんからの質問待ってます!
仕事から家庭、恋愛、そしてファッションetc.・・・・・・、日ごろ読者の皆さんが抱える悩み、疑問など、相談したいことを何でも教えてください。マエストロ赤峰がズバッと解決いたします!インターネットの場合は[ www.oceans-ilm.com ]へアクセスのうえ、「NEWS」から投稿してください。郵送の場合はハガキに @相談したいこと A氏名(ふりがな) B住所 C年齢 D職業 E電話番号 Fメールアドレス G「オトナ相談室」への感想 を明記し、〒162-0825東京都新宿区神楽坂6-42 オーシャンズ編集部「オトナ相談室係」まで。

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2008年11月06日(木)

MEN'S EX 12月号 平成の寺子屋 赤峰幸生の上級ファッション塾 連載vol.02 [MEN'S EX 掲載記事]

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「フランネルスーツの立ち位置を知ろう」

真のクラシックを追求し、服のみならず、生き方そのものに自らのスタイルをもつ男、赤峰幸生。氏が考える、男のお洒落を伝授します。第2回は、「フランネルスーツ」のあれこれ、についてのお話です。

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Q フランネルってどんな素材?
縮絨した生地を起毛させた素材です
「糸を平織りもしくは綾織りにしたあと、その生地を軽く縮絨させてから、最後に起毛させた素材のことです。弾力性があって保温性が高く、霜降り感のあるのが特徴です。英国やイタリアでは紡毛のものが一般的ですが、日本製のフラノは梳毛のものが一般的です。」

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Q どんなシーンで着るんですか?
フォーマルな場を除いた日常のシーンです
「写真のウィンザー公のように、フランネルは、もともとハンティングやゴルフのときに着用していた素材です。位置づけは、あくまでスポーツの中でのドレッシー。日常のビジネスシーンはOKですが、パーティのときは、冬でもモヘア混のスーツを私は着用します。」

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Q 最も有名なフランネルは?
英フォックス ブラザーズのフランネルです
「英国のフォックス ブラザーズのフランネルでしょう。英国らしいハードな生地で、着込むほどに味わいを増す素晴らしい生地です。そのフォックスと対極を成すのが、イタリアのカルロ・バルベラです。イタリアらしい色柄の出し方に加え、ソフトな風合いが魅力です。」

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Q フランネルの魅力ってなんですか?
使い勝手のよさ、季節感を表現できるところです
「冬らしさを表現でき、タイドアップに限らずタートルネックニットを合わせてもいい。コーディネイトが万能なところです。私が好きなミディアムグレイのフランネルは、白やブルーに限らずピンクやベーシュなど、シャツの色を選ばずに合わせられるのも魅力です。」
 

■フランネルは、あくまでスポーティという位置づけ
M.E.  今月は、赤峰さんの十八番、フランネルについてお願いします。
赤峰  了解しました。起毛した生地をネル仕上げといって、通常フラノとかフランネルっていうんですけど、スーツ地の場合、ミディアムグレイの、それも白の色が混じった霜降りのトップ生地が基本になります。織り上げたものを縮絨して目を詰まらせてから毛を掻くのですが、このときにハードに詰まらせると、メルトンになるわけです。ちなみにフランネルは、平織りも綾織りもあります。
M.E.  なるほど。
赤峰  もともとフランネルの立ち位置として、スポーツをする時の素材、というのが基本にあります。ドレッシーな素材であると思われていますが、スポーティな中でのドレッシーな素材であって、フォーマルなものではないんです。だから前回お話したように、パーティのときなど、私は冬でもモヘア混のスーツを着ています。
M.E.  覚えておきます。
赤峰  30代前半のときにシトラッチャン&シュトラウドっていう英国のフラノを代表する生地メーカーと出会ったんです。ここは当時のバーバリーとかアクアスキュータムのフラノのブレザーの生地を作っていたところなんですけど、そこの工場に行ったら、ちょうど世界ビリヤード選手権で使うビリヤード台の生地を織っていまして。それを見てフラノに興味をもって、調べていくと、かつてはウィンザー公をはじめ、富裕層がハンティングのときに着るスーツだったり、ニッカボッカにアーガイルの靴下で、ゴルフをするときに着ていたり、もともとはスポーツをするときの素材だということがわかったんです。ニューヨークヤンキースのベーブルースが着ていたユニフォームは、コットンが30%入ったフランネルだった、なんて話もあります。これはドーメルの本社でアーカイブブックを実際に触らせてもらったのですが、モヘア混らしいシャリ感があって、独特のタッチでしたね。

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ミディアムグレイのフランネルスーツは
冬の普段使いに最適です


(←)やや粗め霜降りの、英フォックス ブラザーズのフランネルを使ったアカミネロイヤルラインのスーツ。アカミネロイヤルラインのシャツ、フィレンツェのプリンチペのタイ、信濃屋の白井さんから譲り受けたシルヴァノ ラッタンツィの靴というスタイル。

■粗挽きのミディアムグレイ それも400g以上がいい
M.E.  それは面白い話ですね。では、赤峰さん的フランネルとはどのようなものかを教えてください。
赤峰  色はミディアムグレイに限ります。チャコールもあるのですが、赤峰的にはジャストミディアム。ミディアムグレイは、白やブルーはいうまでもなく、ピンクや薄いベージュなど、ほとんどすべてのシャツと相性がいいんです。次にチェックするのは、生地の重さです。アカミネロイヤルラインで別注している生地のウエイトは、一番重いもので475g/m。だいたい400g以上のものが多いですね。ただ、一般的には320gくらいが平均です。
M.E.  なるほど。
赤峰  そして、もうひとつ大切なのが、グレイの揉み加減です。グレイのトップ霜降りの粗挽きなのか、中挽きなのか、細挽きなのか。赤峰的には、よりスポーティな、中より粗めの、霜降感がわかるものが好きですね。
M.E.  勉強になります。フランネルのスーツのコーディネイトで留意すべき点を教えてください。
赤峰  まず、今日履いているようなスポーティなドレス靴を合わせます。スエードとかね。タイはウールがいいですね。綾織りのもいいけど、平織りの少しネップの出たものとかウールバスケットとか、表面のある素材のほうが、よく合うと思います。今日はクリースを入れていますけど、本来はクリースを入れずに穿くほうがらしいかな。
M.E.  味わい深そうですね。
赤峰  秋から冬にかけて寒くなると、フラノの季節の到来を感じます。皆さん冬でもウーステッドのクリアなスーツを着ていますけど、僕は毛羽立ち感のあるフラノのスーツが好きですね。季節を楽しめますから。
 
 

◆赤峰塾長がオススメするフラノ生地はコレ!◆

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フォックス ブラザーズのフランネル
フランネルといえばフォックス、というくらいに有名な英国のミル。英国らしいゴワゴワした質感が持ち味で、着るほどに馴染んでいくのを楽しめる生地です。400g/m

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モクソンのスーパー180'sフランネル
英国の中でも最高級のミルが、モクソン。スーパー180'sの原毛を用いたラグジュアリーフランネル。赤峰さん的にいう細挽きタイプで、霜降りは控えめです。340g/m

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カルロ・バルベラのライトグレイ フランネル
伊ビエラのカルロ・バルベラは、しなやかで滑らかなタッチに定評あり。色・柄出しの美しさもイタリア屈指。さらにコシも備わっていて、赤峰さんも太鼓判。370g/m

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アカミネロイヤルラインの国産フランネル
これぞアカミネグレイというべき、ミディアムグレイのフランネル。赤峰さんディレクションのもと、国内で織られたアカミネロイヤルラインのもので、475g/m

◆赤峰塾長がオススメするフラノスーツはコレ!◆

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英フォックスのイエローフランネルを使用
英フォックス ブラザーズの黄味がかったグレイの、肉厚なイエローフランネルを使用。385g/m。ダブルブレステッドスーツ18万9000円/リングヂャケット(リングヂャケット マイスター)

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英フォックスに完全別注したホワイトフランネル
「華麗なるギャッピー」に想を得て別注した、ヘビーウエイトのホワイトフランネル。3ピーススーツで13万6500円(オーダー価格)/ザ・スタイルゲイト ファンダメンタルモデル(伊勢丹新宿店)

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生地から取り組んだヴィンテージの復刻フラノ
英国のミルに赤峰さんが別注をかけてヴィンテージの生地を復刻。ブルーグレイの色出しも◎。400g/m。赤峰イズムが詰まった1着です。22万5855円/アカミネロイヤルライン(インコントロ)

今月のおさらい

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 フランネルスーツはパーティで着るべき服ではない。位置づけはあくまでスポーティ
 色は着回し万能のミディアムグレイに限る。それもやや粗挽きの、霜降り感があるものがいい。
 今日の平均的なウエイトは320g/m。赤峰的フランネルは最低400g/m以上
 合わせるのはウールタイ、それも素材感があるものが基本。足元はスエードか、スポーティなドレス靴を

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2008年10月24日(金)

OCEANS 12月号連載 AKAMINE STYLE 目覚めよ、日本の男たち! [OCEANS掲載記事]

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マエストロ赤峰の「オトナ相談室」
仕事、家庭、子育て、そして愛・・・・・・などなど。
30〜40代のオーシャンズ世代にもなれば、
少なからず何かしら悩みのタネは持っているもの。
そんな皆さまの“駆け込み寺”として開設されたのが、このオトナ相談室。
皆さんの質問にお答えするのは、“人生のマエストロ”こと赤峰幸生氏。
今月も痛快なご意見で迷えるオーシャンズ読者に救いの手を差し伸べてくれるハズ!
では皆さん、ご一緒に! 教えてっ、マエストロ!
 
 
今月のテーマ
“男ヂカラ”

[今月の質問]
毎月「オトナ相談室」を拝読しております。実は私は未婚。オーシャンズのような子供を持った家庭を作りたいと願っているのですが、肝心の結婚相手が見つかりません。これまでに3度、結婚を申し込んだことがあるのですがすべて惨敗。どうしても最後にはフラれてしまうんです。私の同年代の友人たちがほぼ全員結婚しているのですが、その後離婚をしたカップルがすごく多いんです。そんななか、私は“焦り”を感じずにはいられません。こんな私は、結婚はおろか、結婚した後もその関係をうまく持続していくことができるのでしょうか。また、結婚後に温かい家庭を築いていくうえで、大切なことは何でしょう。そもそも、結婚の前と後に男性に求められる条件とは、異なるものですか。(34歳・愛知県在住・医療会社勤務・S・Oさん)

 
 

Q.晩婚や離婚は当たり前。そんななか、結婚をしたくてもできない人々が急激に増えてきているようです!これって、深刻すぎません?一体どうなってるんですかっ!
 てめぇ、このやろう!そんなことをオレに聞くなっ!てめぇで考えやがれ!
 と言いたいところだが、まぁ、重要な問題だ。せっかくだから、腰を据えて考えてみようじゃねえか。
 確かに今、結婚をしたくてもできない、そんな時代であることは事実のようだ。「(注1)婚活」という言葉が生まれたことが、まさにその証左。結婚に対する積極的な活動。そんなことは当たり前だと言いたいが、社会の変化がそれを余儀なくさせた。結婚というものが生きていくうえで必要な“必需品”から、あればあったで生き方を彩る“嗜好品”へと変わったのだ。そして、男性と女性それぞれの価値観も変化し、結婚を満たす条件がぐんと難しくなった。しかし、だからといって、それほど難しいことではないように思える。古今東西、受け身でいては結婚などできようもない。問題は、端的に言えば“男の力”が弱くなってきていることにある。もちろん「年収」などの細かな条件はあろうが、「婚活」には、もっと根本的な“男ヂカラ”を早急に高める必要がある。
 そして、これはなにも「婚活」をする男性、つまり結婚予備軍だけに限った話ではない。既に結婚している男性も同様だ。未婚・既婚を問わず、“男ヂカラ”を高めることは、この現代社会において重要な課題であると考えたほうがよい。

Q.なるほど“男ヂカラ”ですか!でも、マエストロ、未婚・既婚問わずというのは、どうしてなんでしょう?
 ばか野郎っ!お前は、本当に何もわかっていないな。あきれて物も言えん!そもそも結婚とは何か?「婚活」という言葉の誤った理解は、「結婚=ゴール」としてしまうことだ。言うまでもなく、結婚はゴールではない。結婚とは、長い人生における第2のスタートラインに立ったにすぎないのだ。結婚とは簡単なものではない。しかし、「結婚生活の安定した持続」は「結婚」よりも明らかに困難である。つまり、「婚活」はもちろんであるが、結婚後いかにその生活を安定して維持していくかという目的を忘れてはならない。そのための“男ヂカラ”でもある。「婚活」という言葉に踊らされているばかりでは、多くの男性が、この真の目的を見失うことになる。

Q.なるほど、結婚するのは簡単。難しいのは結婚生活の維持だ、と。では、改めて、既婚・未婚に限らない“男ヂカラ”とは、何でしょう?
 結婚とは単なる「日常の営み」の連続だ。そして、結婚相手とは「共同生活者」だ。あえて言うなら、“男ヂカラ”の真価は結婚してからの、毎日の生活で問われることになる。そして、“男ヂカラ”とは、誤解を恐れずに言えば「強い男」になることにほかならない。時代は変わっても「女性は強い男に憧れる」。これは、生物学的な原則と言ってもいい。だが、現代の男の多くは、その強さに欠ける。そして、ときにその強さを「優しさ」と混同しているのだ。
 結婚生活を「日常の営み」とするならば、生活していくうえでの「役割分担」は最も大事なことだ。言うまでもなく、家事や育児のすべてが妻の役割ではない。妻が炊事をするなら、夫は掃除に洗濯。私とてゴミ出しからトイレの掃除、いろいろ役割を担う。生活していくうえで必要な仕事は分担して当然。妻が専業主婦だろうが共働きだろうが、そんなことは別問題である。
 しかしながら、それが男の優しさだと思っているとしたら勘違いも甚だしい。あるいは、それを相手の顔色を窺い、機嫌を取るためにやっているという輩には、ひと言。ばか野郎っ!である。そんなものは、「まやかしの優しさ」にすぎない。私に言わせれば、「夫婦ごっこ」をしているにすぎないのだ。“男ヂカラ”とは、まずこの「まやかしの優しさ」をなくすことから始まる。家事や育児には、必要であるから参加する。それ以上でもそれ以下でもない。

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(→)実はマエストロ、平日でも休日でも時間があれば早朝にジョギングをして汗を流すことが多いとか。仕事は健康な体があってこそ、と語るとおり、ジョギングにも全力投球で励む姿からは、並々ならぬ生命力を感じずにはいられません。運動不足に不摂生と負の連鎖に悩んでいる我々も、ぜひともマエストロを見習いたいものです!

Q.結婚したり、付き合ったりして生活をともにすると、ふたりの価値観の違いが浮き彫りに・・・・。こんな話をよく聞きます。そんなときはどうすれば?
 てめぇ、この野郎!オレは「家族サービス」なんて言葉は大嫌いだ!「仕方なしにやっている感」が強く「ありがたく感じろ」、と言っているようなものではないか。だから、家族と過ごす時間が負担に感じられてしまうのだ。原因は己にある。家族と過ごす休日の時間を、妻や子供と同じように自分も楽しめばいい。自分が楽しめれば、それはサービスではない。「仕事で疲れているから休日は寝かせてくれ」なんていうのは言語道断。世の多くの男性には、家が仕事に奔走するための休息の場。しかし、本来は逆。いや、むしろ、その両方が勝負の場であってほしいと思う。毎日を充実して過ごすためには、どちらにおいても全力投球することは、豊かな人生を過ごすことにつながる。「家族サービス」なんて考えは改めて、休日は自分も家族と一緒になって楽しむことだけを考えろ。趣味に費やす時間が取れないなら、家族との時間を使える、新しい趣味を作ればよい。休日を「楽しみ尽くす」ことは、己を高めることに直結する。これは、結婚前でも同様だ。「楽しみ」に対して消極的になってはいけない。楽しいことを追求しなくなったら、生きている意味がない。“男ヂカラ”とは、貪欲に楽しみを追求することでもある。そうやって普段から自分を積極的に極めていく姿勢が、“男ヂカラ”を高めていくうえで必要不可欠なのだ。

Q.必要なことを“必要だから”する。でも、「家族サービス」を負担に感じる男性は多いとか。でもこれ、「強い男」には、不可欠ですよねっ!
 結婚すれば、確かにそれまでの関係性ではなくなる。文字どおり「共同生活者」になるからだ。しかし、結婚とはそういうものだ。双方に言えるのは、すべてのことについて「お互いさま」という自立した気持ちを持つこと。お互いが助け合って、はじめて生活が成り立つ。結婚後、価値観の違いに悩むのは、他人同士なのだから当たり前。むしろ、価値観の違いがあってこそ、面白みがる。違いは、認め合い、擦り合わせ、そして共有する。そのためのケンカならば大いにすればよい。しかし、最後には必ず男が女に謝る、そんなケンカならしないほうがまし。女が間違っていると思うなら、そう強く諭せばよい。どちらか片方の我慢が続くようであれば、長続きはしない。価値観の違いを認めない相手には、そこで諦めずに、認めさせる努力をするべきだ。最近ではすっかり見られないが、女性を育てる、というのも男の役目。互いに高め合える関係が理想だ。デリケートな気配よりも、それを前提とした男らしい牽引力を養え。亭主関白な立ち居振る舞いとは限らない。ときには怒鳴る。女に対して、感情に剥き出しにして主張をしてみろ。“男ヂカラ”には見せかけの優しさなど不要だ。既婚・未婚にかかわらず、本当に相手の女性を思うなら、それが当然だろう。信頼は安心感は、そんな関係の中で育まれるのだ

Q.もし、「イイ女」に出会ったら・・・・・。いったい、どう対処すれば?それが心配でなりませんっ!
 てめぇは、本当にばかなのか?いや、大バカやろうだな。まぁ、とはいえ世の中にはイイ女は山ほどいる。あえて言うなら、心配するのは、お前がその女性との肉体関係を求めてしまっているからではないか。肉体関係だけが男女の関係ではない。それが目的になってしまえば、その関係は長続きせずすぐに終わってしまう。それでは、せっかくのイイ女が台無しだ。そうではなく、本当にイイ女が現れたなら、友人として長く付き合っていけばよい。性別を問わず友人の数は“男ヂカラ”に比例する。友人とは、己を高める肥やしとなる。そういう意味では“男ヂカラ”を高めるために、どんどんイイ女、そしてイイ男を見つけなさい
 結婚生活とは、山あり谷あり。旅のようなものである。立ち止まることも、道に迷うことも、ときには道を間違えることもあるだろう。しかし男である以上、あなたは進むべき道を、常に前に立って示すように努めなさい。それは、自分本位でという意味ではない。あなたの夢や理念、そして信条は、女性にあなたの背中を見せることで示しなさい。独身の方であってもそう。普段からそう心がける。“男ヂカラ”とは、そうやってあなたの背中に宿るのである
 
 
(注1) 「婚活」
家族社会学者の山田昌弘氏と少子化ジャーナリスト白河桃子氏による造語。就職活動を意味した「就活」と同じく、結婚のための積極的な活動を「婚活」と称した。共著『「婚活」時代』(ディスカバー・トゥエンティー・ワン)が詳しい。

 
 

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−近ごろのマエストロ−
パリで「プリミエール ビジョン」、ミラノで「ミラノ ウニカ」の生地展に行ってきた。かれこれ30年は通い続けているが、今回はこれまでにない変革期にあると感じた。今後は地球規模で捉えた、オーガニックなものとエスニック(=民族的)なものとが軸となっていく予感がした。非工業化、非効率化されたもの、つまり、手織・手編・手染・手縫・手紡といった“時間をかけて手仕事で作り上げた本物”が求められる。早くて安い、そんな無味乾燥なファッションの対極。世界全体で消費が停滞しているからこそ、安易な買い物をやめ、こういった本物を見極めることが大事だ。

■皆さんからの質問待ってます!
仕事から家庭、恋愛、そしてファッションetc.・・・・・・、日ごろ読者の皆さんが抱える悩み、疑問など、相談したいことを何でも教えてください。マエストロ赤峰がズバッと解決いたします!インターネットの場合は[ www.oceans-ilm.com ]へアクセスのうえ、「NEWS」から投稿してください。郵送の場合はハガキに @相談したいこと A氏名(ふりがな) B住所 C年齢 D職業 E電話番号 Fメールアドレス G「オトナ相談室」への感想 を明記し、〒162-0825東京都新宿区神楽坂6-42 オーシャンズ編集部「オトナ相談室係」まで。

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赤峰 幸生 (あかみね ゆきお)

● イタリア語で「出会い」の意のインコントロは、大手百貨店やセレクトショップ、海外テキスタイルメーカーなどの企業戦略やコンセプトワークのコンサルティングを行う。2007年秋冬からは『真のドレスを求めたい男たちへ』をテーマにした自作ブランド「Akamine Royal Line」の服作りを通じて質実のある真の男のダンディズムを追及。平行して、(財)ファッション人材育成機構設立メンバー、繊研新聞や朝日新聞などへの執筆活動も行う。国際的な感覚を持ちながら、日本のトラディショナルが分かるディレクター兼デザイナーとして世界を舞台に活躍。 Men’s Ex、OCEANSに連載。MONOCLE(www.monocle.com)、MONSIEUR(www.monsieur.fr)へも一部掲載中。

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