AKAMINE BLOG

メンズファッションディレクター 赤峰 幸生のBLOGです。

2006年08月05日(土)

MEN'S EX 9月号 菊池武夫と赤峰幸生の Be Buffalo Forever! vol.4 [MEN'S EX 掲載記事]

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菊池武夫さんと赤峰幸生さん。
ファッション界の2人の巨匠が毎回テーマをひとつ決め、それに基づいてファッションを披露し語り合う、夢の対談連載。

「今月のテーマ」
この秋気になっているファッションスタイル

今回のロケ地はフィレンツェ。赤峰さんが27年通っているホテルの屋上にて撮影しました。ドゥオモを見渡せる最高のロケーションのもと、アルコールを手にしながらお2人がこの秋気になっているファッションスタイルを披露し、語ってもらいました。今回も話は次第に脱線(笑)。
 

画像(180x250)・拡大画像(400x556)

■(写真左)菊池武夫氏
・ノーブランドのキャスケット
・ルイ・ヴィトンのシルクストール
・40カラッツ&525のタキシードJK&ヴェスト
・40カラッツ&525のレザーベルト
・Gスターのブルージーンズ
・40カラッツ&525別注のレ ユッカスのリザードブーツ

■(写真右)赤峰幸生氏
・Y.アカミネのミリタリージャケット
・リヴェラーノ&リヴェラーノのボタンダウンシャツ
・古着のリーバイスのコーデュロイパンツ
・ストール マンテラッシのスエード製モンクストラップ

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ここアストリアホテルの屋上で11年前からバーテンをしているエミリオ・トーラ氏とシニョール赤峰はすっかり顔馴染み。アルコールを手にフィレンツェの美しい景色を見渡しながらの対談は気分も最高!舌好調!お互い一度話し出すと、なかなか止まりませんでした(笑)。
 

 
■キチッとしたアイテムを土台にして着るのが今の気分
今回の舞台はフィレンツェ。赤峰さんの定宿、アストリアホテルの屋上にて、ドゥオモを背景に撮影を決行。燦々と照りつける強い日差しの中、お2人にひと足早く秋冬のスタイルを披露していただきました。大感謝!
菊池  それにしてもいい眺めですね。
赤峰  フィレンツェに来るときは必ずこのホテルって決めていて、かれこれ27年くらい通っているんです。ところで菊池さん、今日はビシッと決めてらっしゃいますね。。
菊池  ジャケットとヴェストは40カラッツ&525の秋冬の商品です。シャツは春夏ものですけどね。自分の中ではキチッとしたわけでもなくて、これが落ち着いたっていうのかなぁ。今日の撮影のために実は3着持ってきたんですけど、どれもなかなか自分が普段着ている感じにはならなくて。でも、このスタイリングだけはしっくりきたんですよね。
赤峰  あとの2着はどんな感じだったんですか?
菊池  ベージュの(注1)ローデンクロスのファーつきジャケット(注2)カシミアのスペンサージャケット。2つともいいなって思っていたんですけど、着てみるとなんとなく落ち着かなかったんです。
赤峰  スペンサージャケットかぁ。かなりフォーマルな感じですよね?
菊池  そう、ドレスアップした感じです。感覚的には今着ているのと似ているかな。今はジャケットとヴェストとシャツっていうのが気分でして。キチッとしたものを土台にして着たいんです。崩して着ることが多かったので、それを元に戻しつつ、自分なりにいつも着慣れている感じで着たいなって。だから、あえて定番のジーンズを合わせたんです。本当はきれいなパンツを上手く合わせたかったんですけど(笑)、普段そういう格好をしていないから、いざやろうとしても落ち着かないんですよね。
赤峰  色もよく見ると黒ではないんですね。
菊池  実はブルー系が凄く気分でして。黒じゃなくて、とにかく濃いブルー。今日着ているジャケットもヴェストもシャツも、どれも黒ではなくてミッドナイトブルーなんです。
赤峰  先生が言っている気分っていうの、よくわかるなぁ。イギリスのブリティッシュ・ミリタリー・ミュージアムってところに行ったときに、今日着ているジャケットの原型が展示されていましてね。それをヒントに今日的なアレンジを加えたY.アカミネの秋冬の新作です。当然ながらオリジナルは英国製のウールですけど、これはイタリアのコットンを使用しています。
菊池  男の軍服っていうか、ユニフォーム的なものに惹かれる傾向がありますよね。

■2人のジャケットのルーツはサヴィル・ロウにあった!
赤峰  そうですね。サヴィル・ロウって、もともと英国の王室御用達っていうか、高級士官が着る軍服とか、その軍人がセレモニーで着るときのタキシードなんかを作っていたところじゃないですか。クラスの人たちの服を仕立てるのがサヴィル・ロウであって、本来はビジネススーツを作るエリアではないんですよね。言ってしまえば、今日先生が着ているジャケットも、大本でいうとサヴィル・ロウの作りが基本みたいなところがあって、そこに先生なりの解釈で崩したりひねったりしていって生まれたものだと思うんです。そういった意味では2つのルーツって共通しているんですよね。先生はセレモニーの服を自分なりに咀嚼して着こなしていますし、僕は軍服を自分なりの解釈でこなしているっていうか。全く違うスタイルのようにも見えますけど、もとを辿れば同じなんです。それに合わせているのが、先生の場合は5ポケットのブルージーンズで、僕の場合はリーバイスのコーデュロイの5ポケットだったわけです。
菊池  なるほどね。
赤峰  ただ、僕はトラッド畑って言われると正直ムカッとくるんですよね。ベーシックな服は好きですけど、そこに進化していく表現がないと、面白くないですから。ただベーシックなだけのスタイリングにはあまり興味が湧きませんし。
菊池  赤峰さんって第二次大戦以降の世の中全体が希望に満ちている一番いい時期、'50年代から'60年代にかけて青春時代を過ごしてきたわけでしょう。ベースにそういう時代の背景があるから、着こなしひとつにしても、その時代の考え方の薫りっていうのを凄く強く感じるんです。洋服を心の底から楽しんで着ているのがヒシヒシと伝わってくるんですよね。
赤峰  昔ってそういうカッコイイ親父、たくさんいたじゃないですか。彼らの着こなしには自分の着こなしを変化させるヒントみたいなものがあったんですよね。今回、ピッティを見ていて思ったのは、モノをわかって作っているファクトリーと、モノを表層的にしか捉えてなくてそれらしく作っているんだけど踏み込みが足りない洋服と、その差は歴然としているなってこと。
菊池  飽和状態を通り越して何か訴えるものがあるかなって期待も少しはあったんですけど、やっぱり本質的な方向性が見えてこないなっていうのを、確かにもの凄く感じましたね。カッコいい人たちが少なくなってきているから、どこにカッコよさがあったのかっていう、元がわからなくなってしまっているんです。それがぼやけているうちは本当に面白い洋服って作れないでしょうし、それを探すのに1年くらいはかかるのかなって。カッコいいものはいつの時代に見てもカッコいいわけですから、そこに今の社会に合ったものを入れていけばいいだけなんです。もうひとつ思うのは、人間的なカッコよさって凄く大切だなっていうこと。洋服って単なる服ってわけではなくて、着る人にも左右されるものですから。
赤峰  それはいえますよね。

■継続から学ぶことって凄くたくさんある
菊池  赤峰さんはホテルひとつにしても長い間ずっと同じところに泊まっているわけじゃないですか。1回掴んだものを大事にしているっていうのかな。それってなかなか真似できないことです。僕なんかは振り回されるのをよしとしている部分もあって、自分の中でいつか元に戻ればいいやっていうのがあるんですけど、それを長年やっていると、上手く蓄積できていなかったりするんです。赤峰さんを見ていると、しっかり蓄積されている。そういう部分というかスピリットが、洋服の着こなしにも表れているんですよね。
赤峰  今、そういうのが認められる時代になってきていますよね。立ち居振る舞いって言葉がありますけど、東洋人はそういった概念が希薄ですよね。フォークとナイフを行儀よく持ちすぎているのが逆にカッコ悪かったり。フォークやナイフひとつにしても、ヨーロッパの人たちの使い方を目の当たりにすることが大切だと思うんです。彼らの文化の中で、彼らと同じことを同じように繰り返していくことで、そのうちにそれが自分の中に自然と染み付いてきますから。フィレンツェのドゥオモのそばに、レストランのお皿を洗うおばさんとか仕立て屋が着る白衣だけを、ずっと作り続けているお店があるんです。20ユーロくらいだったかな。そこで(注3)白衣を買ったんですけど、80年間全くカタチを変えてないそうです。日本だとポリエステルしかないんですけど、もちろん綿のギャバですよ。あれに刺繍とか入れたら受けると思うんだよなぁ。
菊池  あれ、学生の頃に憧れましたよ。ジバンシーが白いのを着ていて、その後はサンローランも着ていましたよね。
赤峰  パッと見た目はフツウの作業着なんですけどね。でも、僕が目指す究極って、パッと見はフツウなんだけど、よく見るとフツウじゃないっていうスタイルなんです。
菊池  赤峰さんはもう十分その域に達してるじゃないですか。僕はそれとは真逆だからなぁ(笑)。

 

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(注1) 「ローデンクロスのファーつきジャケット」
オーストラリアのチロル地方に16世紀から伝わる、毛足の長い厚手のウール。撥水性や防風性に優れている。一般的にはモスグリーン色のが有名。襟と袖口には着脱可能なカルガンラムの毛皮を使用。
ローデンクロス地のJK15万7500円(40カラッツ&525 電話03-3408-8562)

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(注2) 「カシミアのスペンサージャケット」
スペンサージャケットは、燕尾服のウエストラインからすっぽり切り落としたようなデザインの礼服。これを菊池さんはカシミア素材でアレンジ。贅沢にもカシミア100%。
リッチな雰囲気漂うスペンサーJK。26万2500円(40カラッツ&525 電話03-3408-8562)

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(注3) 「白衣」
伊でも多くの職業の人たちに着られている白衣。「完成された作業着は個々のディテールに理由があり、モノ作りのヒントがある」と赤峰さん。こちらが80年間全く変わらずにフィレンツェのお店で作り続けられている白衣。素材もずっと変わらず今なお綿のギャバジン。
赤峰さんの私物

Posted by インコントロ STAFF at 00時00分   コメント ( 0 )

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