AKAMINE BLOG

メンズファッションディレクター 赤峰 幸生のBLOGです。

2007年10月06日(土)

MEN'S EX 11月号 菊池武夫と赤峰幸生の Be Buffalo Forever! vol.18 [MEN'S EX 掲載記事]

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菊池武夫さんと赤峰幸生さん。
ファッション界の2人の巨匠が毎回テーマを決め、それに基づいてお互いのファッションを披露し語り合う、夢の対談連載。

「今月のテーマ」
コートで築くダンディズム

スーツ以上に男のダンディズムを表現できるアイテムといえば、コートに限ります。今回は御歳70歳、信濃屋の白井俊夫さんにゲストとしてご登場いただき、その着こなしを披露していただきました。
 

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■(写真右)赤峰幸生氏
アクアスキュータムの1941年製のトレンチコートに、ドーメルのヴィンテージのスポーテックスを使って仕立てたリヴェラーノ&リヴェラーノのスーツ、シャルベでオーダーしたシャツ、それにドミニクフランスのタイ。足元はジョン ロブの「ダービー」。
■(写真中央)白井俊夫氏
チェスターバリーの25年ほど前のアルパカコートに、フランコ バッシのシルクストール、8年前くらい前に仕立てたA.カラチェニのスーツ、それに47年前に購入したサクソンのスエードシューズでご登場。ペッカリーグローブはエルメス、帽子はボルサリーノ。
■(写真左)菊池武夫氏
カシミア70%、ミンク30%のルカ ヴェンチュリーニのコートに、ダンヒルのマフラー、約20年前に購入したエルメスのニット、ベルヴェストのスーツ下のパンツ、デュカルのスエードシューズ、クールのホンブルグ帽と、デンツのペッカリーグローブという合わせ。

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ファッション界のビッグ3といっても決して過言ではない顔ぶれ。コートを脱いだ姿も実に決まってらっしゃいます。長年の経験から導き出したそれぞれのファッションスタイルは、何よりも説得力があり、昔話にも花を咲かせていました。

■最近は軽いコートのほうに惹かれてしまう(菊池、白井)
M.E.  偶然ながら、今日着てらっしゃるコートは皆さんベージュ系です。
白井  冬だから暖色系を選ぶことは多くなりますよね。これは、イギリスから昔の資料を取り寄せて、それをもとにして25年くらい前にチェスター・バリーに作ってもらったアルパカのコートです。キャメルでも作ったんですけど、どちらもすぐに完売しましたね。
M.E.  白井さんの中で、コートスタイルのルールってあるんですか?
白井  コートの5点セットというのがあって、コートのときは、帽子、ステッキ、グローブ、マフラーは僕の中では欠かせません。でも正直、最近は今日着ているようなヘビーウエイトのコートは、ほとんど着なくなりました。
菊池  わかります。コートは結構好きなんですけど、私も最近なんとなくはまっているのは、ヘラヘラの一重仕立てのタイプなんです。
赤峰  今日着てらっしゃるコートは、ラグジュアリーな雰囲気ですね。
菊池  ありがとうございます。ルカ ヴェンチュリーニというブランドのコートで、今年の秋冬に40カラッツ&525で展開するものなんですけど、ミンクとカシミアが入っていて軽くていいんです。今日もそうなんですけど、最近は下にジャケットを着ないで直接着ることが多いですね。さっぱりしているほうがいいかなと思っていて、それでシンプルにタートルネックニットを選んだんですけど、コートだと首元が大事ですしね。マフラーをしましたけど、着こなしとしてはこれもなくていいのかなとも思います。
M.E.  赤峰さんはいかがですか?
赤峰  コートは男の特権ってわけじゃないですけど、最も分量が多いわけですから自分を表現しやすいんです。クルト・ユルンゲンスとか、イヴ・モンタンとか、アラン・ドロンとか、フレンチギャングじゃないけど硬派な雰囲気で、シリアスにビシッとタイドアップして決めたい気分だったので、アクアス(アクアスキュータムの略)の、ウエストのベルト位置の高い'40年代のトレンチコートを選びました。正確には'41年製で、自分がまだ生まれていない頃のものなんです。'50年代の気分になれるっていうか、映画を見てなんとなく想像していたものを、着用すると俳優が着ていたシーンと重ね合わせられるというか。
M.E.  赤峰さんは、トレンチコートには一家言ありそうですよね。例えば、その着こなし方とか。
赤峰  後ろで結ぶのは勘弁してくれっていうか。女の子じゃあるましし、やめてくれって感じですね。ベルトはギュッと結んで垂らすのが流儀だと思うんです。後ろで結んで垂らすんだったら、トレンチとか着てほしくないよね。
白井  ああ、あれ最高にイヤだね。イヤなこったね。
菊池  僕はポケットに突っ込みます。
白井  それはいいですよね。
赤峰  トレンチを着ていても片方のベルトが抜けてズルズル引きずって歩いている奴とかいるからね。
白井  そういう奴は、踏んづけてやればいいんだよ(笑)

■往年の俳優や紳士のコートの着方は大いに参考になる
赤峰  コートのボリュームは男らしさを強調しやすいですよね。どのコートのカッティングも前がラウンドではなくて縦にスコーンと落ちる、そこがコートの気分のよさだと思うんです。白井さんの場合、イギリス的な着方というよりはイタリアの(注1)ヴィットリオ・デ・シーカのように、なんとなくガウンっぽく軽く巻きつけたりっていうような、丸み感のあるスタイルというか、そういう感じですよね。白井さんが好きだった映画俳優っているんですか?
白井  映画俳優で好きだったのは、(注2)ゲーリー・クーパーかな。(注3)ルチアーノ・バルベラなんかは、クーパーを完全に意識しているよね。ストライプのスーツの下にニットのベストを合わせて、全く同じ着こなしをしているのを見たことがあるから。
菊池  クーパーでもの凄く印象的だったのは、「モロッコ」でしたっけ。あのときは確かトレンチみたいなのを着ていたと思ったんですけど、あれはカッコよかったなぁ。あと、アラン・ドロンのシリーズがありましたよね。「サムライ」とか今見ても面白いし、カッコいいと思います。あの辺の映画には影響を受けました。ただ、時代の中でコートも少しずつ変化している部分があって、最近は軽さの方に惹かれてしまうんです。軽いということはキチッとした形を保てないわけですから、ダラッとした中にコートの魅力を感じるっていうのかな。ただ、今でも惹かれるのは'30年代、'40年代のなで肩で少し大きくてウエストがグッと絞られていて、裾のところがボリュームがあるコートですね。あれはカッコいいと思います。
白井  ああ、いいですね。ここ一番のときは紺のカシミアのチェスターコートとか着ますけど、僕も最近は軽さを重視してしまいます。
赤峰  クルマが発達して、オフィスも暖房が利いて、温暖化も手伝ってコートがだんだんと必要とされなくなってきて、結果としてコートを作るメーカーも少なくなってきたじゃないですか。かつてはこういうコート屋があったよねっていう話が最近多くなってきましたよね。ちょっとした雨くらいなら傘を差さずにトレンチコートの前を締めてキチッと着る、みたいなヨーロッパの紳士のスタイルは個人的には好きなんですけど。
菊池  前にも言ったと思うんですけど、僕もコートのフロントを完全に締めて襟を立てて着るのは好きでしたね。
M.E.  ジェントルマンの着こなしという感じでカッコいいですよね。
赤峰  19歳のときに日本橋の丸善でバーバリーのトレンチコートを買ってきて、箱から開けてフロ桶の水にそのままつけたらオフクロにひどく怒られたのを覚えていますね。その当時で確か8万円くらいしたと思います。襟にパッカリングが出ないと気分が悪くてね。やっぱり映画の影響なんですけど、クルト・ユルンゲスとかストラップをギュッと締めて真っ黒いティアドロップをしているのに憧れていまして。1週間くらい陰干ししてから着たのを覚えています。
M.E.  恐るべき19歳ですね。
白井  当時洋服を好きだった人は若い頃からみんなそうでしたよね。僕もみんな洗ってしまいますよ。
菊池  僕もすぐ洗ってしまうんです。でも、いいですよね、そのほうが。

■自分の体温でコートを慣らしていくのがいい(赤峰)
M.E.  ところで、赤峰さんの場合、白井さんや菊池さんと違って軽いコートがいいとかそういうのはないですよね。
白井  若いもんね、まだね。
赤峰  この中では一番若いですけどね(笑)。ヨーロッパの公園のベンチに座っている爺さんを見ていると、カッコいい人がたくさんいるんですよね。もう適わないなと。こういう爺さんには足元にも及ばないなって思いますよ。
白井  昔は日本にもたくさんいたんですけどね。話はずれてしまいますけど、昔、本当にお洒落なお客さんが信濃屋にもいまして、「麻のスーツは仮に3年着るとしたら、2年は無駄に着ないとダメなんだよ。少しホケホケしたところで、あと1年で着るのが麻のスーツなんだよ」っていうのを教えてくれましたね。それはコートも然りで、アジが出てくるまでにはそれなりの年月を必要としたものです。
赤峰  そうですね。高い安いは別にして、使い込んでくるとアジが出てくるじゃないですか。そこを大事にしてほしいっていうのはあります。できたてのものは、36.5度というか、自分の体温でクセ取りしていくっていうか慣らすんだという、そういう気分です。
菊池  結局、軽いコートがいいというのは、軽さだけじゃなくて、ちょっと着ただけでも演出的にいうと、着込んでいる感じが出るっていうのもあるからなのかもしれません。ただ、これからはどうなるかわからないですよね。またガッチリっていう時代が来るかもしれないですし。

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(注1) 「ヴィットリオ・デ・シーカ」
1901年イタリア生まれ。映画俳優から映画監督に進出したイタリア映画界の巨匠。監督代表作に「自転車泥棒」、「ミラノの奇蹟」、「ボッカチオ'70」、など。'74年没。

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(注2) 「ゲーリー・クーパー」
1901年、アメリカ・モンタナ州生まれ。映画「モロッコ」('30年)で一躍スターに。「ヨーク軍曹」('41年)、「真昼の決闘」('52年)でアカデミー主演男優賞。'61年没。

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(注3) 「ルチアーノ・バルベラ」
伊ファッション界を代表する洒落者。自身のブランド「ルチアーノ バルベラ」ほか、高級生地メーカー「カルロ バルベラ」の2代目オーナー。

Posted by インコントロ STAFF at 00時00分   コメント ( 0 )

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