AKAMINE BLOG

メンズファッションディレクター 赤峰 幸生のBLOGです。

2007年10月24日(水)

OCEANS 12月号連載 AKAMINE STYLE 目覚めよ、日本の男たち!VOL.2 [OCEANS掲載記事]

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マエストロ赤峰の「オトナ相談室」
先月号での新連載第1回目は“マエストロ”こと赤峰幸生氏の痛快な回答に大反響をいただきました!
悩み相談のお便りも編集部に届き始め、悩めるオーシャンズ世代のみなさまが光明を見出せるようにお手伝いを続けていく所存です。
それでは今月も始めます。
教えてっ、マエストロ!

今月のテーマ
“女”

[今月の質問]
2児の父である僕は、結婚5年目。妻と子供に囲まれ幸せな毎日を送っている、そう思っていました。ですが最近、気になる女性ができてしまったんです。夫婦関係はもちろん悪くありません。妻も子供ももちろん愛しています。ですが、頭の中は彼女のことでいっぱいなんです。そんなヨコシマな思いを抱く自分が許せない気持ちと同時に、でもどうしていいかわかりません・・・・・。マエストロ、こんな僕はいったいどうしたらいいのでしょうか?(35歳・港区在住・飲食店経営Y・Mさん)

Q.やはり結婚したら、ほかの女性と付き合うことは難しいのでしょうか?
 馬鹿やろう!この「オトナ相談室」はまだ2回目だが、近ごろの男からはその手の質問しか出てこないのかとまず言いたい。いい年にもなって、まだそんなことに悩んでいるのか。浮気、ましてや不倫なんてありえないだろう。そんなことをしている男は、この「オトナ相談室」から即刻退場してほしいね。しかし、結婚しているからとはいえ、ほかの女性に気が移らないとも限らない。男と女、性の違う者同士が互いに興味を抱き惹かれ合うのは、止めようがない。それは事実だ。だがもし、結婚していながら、ほかの女に恋をしたなら、男らしく筋を通せ。妻と別れてから、正面から本気で新しい女と付き合え。二股など愚の骨頂だ。往年の名女優イングリッド・バーグマンと再婚した(注1)ロベルト・ロッセリーニもそうだ。私もそうしてきた。覚悟を決めろ。覚悟がないなら、新しい女との付き合いなど望むべくもなし。
 結婚するときには別れを想定するはずもない。その女と生涯をともに過ごしたいと思って、結婚するのだ。しかし、自分の気持ちにはいつだって正直でありたいとも思う。自分を偽らない。結婚していても新しい女に恋をしたならば、その道を進む。ただし、覚悟しろ。生半可な覚悟での安易な行動派は慎むべきだと言いたい。ひとりの女と生涯をともにするということは素晴らしいことである。もしそれでも、新しい女性の元へ走るというなら、それ相応の代償には腹をくくることだ。

Q.では、生涯の伴侶とすべく「イイ女」を見分ける簡単な方法を教えてください!
 ふざけるな!そんな方法があると思っているのか。もしあるというなら、ぜひ教えを乞いたいね。「(注2)人は見た目が9割」という本がベストセラーとなり、話題となった。無論、見た目とは外見のことだ。世の中には、この言葉に翻弄されている男女が多い。しかし、私に言わせれば、大事なのは服でも、顔の造形でもない。つまり、見た目とは容姿ではない。「イイ女」を簡単に見分けたい、そう思っている日本の男に、あえてアドバイスを送るならこうだ。それは“目”だ。相手の“目”を見るのである。なぜなら“目”は化粧ができない。決して「飾ること」ができないのだ。自分を偽ることができない。“目”は、ありのままの自分を相手に見せてしまう。“目”は口以上に心を語るのである。だから、私はまず“目”を見る。「イイ女」かどうかは、相手の“目”を見て判断ができる。逆も同じで、女も私の“目”を見ている。それゆえ相手が自分に興味を抱いているか、それも瞬時に察知できる。「イイ女」を簡単に見分けたいのならば“目”で会話するのだ。
 (注3)フェデリコ・フェリーニの映画には、胸と尻がデカい女がよく登場する。しかし、ヒロインは必ず、胸の小さい痩せ型の、そうでない女なのである。この配役が意味するのは、胸と尻がデカい女が「イイ女」であるということを否定したごくごく単純なこと。よく考えてみてほしい。果たしてそれがいい女の条件か?いや、瑣末なことである。肌を露出する服の女が魅力的か?いや、そんなことはどうでもいい。
 ところで、私はナンパは嫌いではない。新しい女と出会うことは、自分への刺激となる。そして私が女に声をかける判断基準は、もちろん、その女の“目”だ。それに尽きるのである。
 私にとっていい“目”をした「イイ女」の代表は、(注4)宮本信子だ。とても知性的である。年の取り方もいい。小津安二郎の映画に登場する(注5)東山千栄子も「イイ女」である。味覚、聴覚、視覚など、人間にある5つの感覚。生涯の伴侶とできるような、素晴らしい女と巡り会いたければ「イイ女」を見抜く“女覚”を磨くことだ。そのためには“目”を見て相手を理解できるようになれ。外見に惑わされるようであれば、男としてはまだまだだ。
 

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(→)今月はマエストロが20代半ばから通い続けているという人形町の江戸前寿司屋「喜寿司」(tel.03-3666-1682 東京都中央区日本橋人形町2-7-13)の赤峰氏を撮影。寿司屋に行ってまず味わうべきなのは、ずばり“お茶”だと語る。カウンターで新鮮な寿司のネタを吟味しているの氏の“目”は、やはりスーツの生地を選ぶときの“目”と同じなのでした。

Q.逆に、簡単に「イイ男」に見られる、マエストロ流の着こなしを教えてください!
 てめぇ、今の今まで何を聞いてやがった、この大馬鹿やろうが!この「オトナ相談室」は、まだ2回目だが、いったいその手の質問は何回目だ。もううんざりだ。何がマエストロ流だ。そもそも「イイ男」に、つまりモテる方法を人に聞くような男が、女にモテようはずがない。昨今は大人の男に向けたファッションを扱う雑誌が「この服を着ると女にモテる」という類のコンセプトで誌面を作っている。それを見るたびに、私は目を疑う。そんな雑誌を見て、そこに載っている服を着て、それでモテるだと?そんなことは万に一つもなかろうが。もし、仮にそれでモテたとしても、女は服を見て上っ面だけで「イイ男」かどうかを判断しているだけ。高い服を着ているから、金を持っている、だから付き合う。そんな女と相場は決まっている。男が男なら、寄ってくる女も女。私なら、そんな考えの女は願い下げだ。上っ面で自分を語ろうとするな。何の車に乗っているか、何の時計をしているか、この靴は・・・・・。そんなことはどうだっていいと、先月も言った。裸で己を語れ。モテる男は何を着ていたってモテる。ただ、それだけだ。

Q.では、マエストロ十八番の妻の喜ばせ方を教えてください!
 やっと改心したのか。近ごろは世話をかけさせる男が多い。だがひと言、馬鹿やろう!とだけ言っておこう。そんな質問をするな。自分で考えろ。だが、アドバイスは送ろう。どんなときも、金だけで解決しようとするな。例えば愛する女の誕生日、どのようにして女を喜ばせるか?大半が「あるブランドの高価なジュエリーを贈ればいい」と答える。だが、私に言わせればそれは間違いだ。「贈ればそれでよし」とする、その心がもはや救いがたい。このように「金をかけること」をある種のセレモニーとするのは下品で、いただけない。愛する女に失礼ではなかろうか。例えば妻の誕生日であれば、「祝うという気持ち」が何より大事なのである。だから私は、バースデーレターを贈る。女への愛情を己の文字で伝えるのである。それは言い換えるなら、ともに積み重ねた日々への感謝の気持ちを伝えるのである。もはやそれは、女を喜ばせようとする目的ではない。ましてや世辞などでもない。自分が感じた本心を、そのまま女に伝えるのだ。そして、本当にそう感じていれば、あとは“目”が語ってくれる。問題は、君が愛する女に本当に感謝の気持ちを抱けるかどうかだ。妻を本当に喜ばせたいと願うなら、もはや悩みの答えは出ているだろうが。
 当然であるが、ここでの話はなにも記念日に限ったことではなく、日常にも当てはまる。例えば、女を「褒める」ということも大事なことだ。私はあまり言わないが、女の着飾った姿を「美しい」と思うなら、それを「褒める」ことは大事なことである。ちなみに、私は「イイ女」であると思った相手には、率直にこう言う。「気持ちのいい目をしていますね」と。そして、「素晴らしい生き方をなさっていらっしゃるのですね」と。目はその人の心、すなわち生き方を映し出すのだ。
 女との付き合い方は、百人いれば百通り。ハウトゥや正解などない。必要なのは、とにかく己を磨くこと。それは、自分に誇れる生き方をするということだ。自信を持って、真っ直ぐに歩んでいけ。そうすれば、道は開かれる。そして“目”はその輝きを増していく。“目”は心、すなわち生き方を雄弁に語るのである。

 
(注1) 「ロベルト・ロッセリーニ」
イタリア人の映画監督。代表作は「無防備都市」。この映画を観たハリウッドスター、イングリッド・バーグマンがロッセリーニに手紙を書き、それを機にふたりは映画史にも残るロマンスを繰り広げることになった。


(注2) 「人は見た目が9割」
竹内一郎著、新潮新書。非言語コミュニケーションの入門書。85万部を超えたベストセラー。

(注3) 「フェデリコ・フェリーニ」
20世紀を代表するイタリア人の映画監督、脚本家。映像の魔術師との異名を持つ。退廃的なローマ社会を描いた代表作の「甘い生活」では、カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞。


(注4) 「宮本信子」
夫である故伊丹十三が監督した作品「お葬式」に出演し、女優としてブレイク。最新出演作は「眉山(びざん)」


(注5) 「東山千栄子」
大正、昭和期に活躍した女優。小津安二郎監督作品「東京物語」に出演し、映画出演の代表作とした。


 
 

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−近ごろのマエストロ−
「新しければよしとするな」

ミラノとパリへの出張から東京に戻ったばかりのマエストロ。「海外へ出かけると日本のいいところ、悪いところがより理解できる。今回の出張で改めて感心したのは街並みについて。ミラノは40年くらい前に初めて訪れてから、今もほとんど変わらない。それは、歴史や文化を重んじる姿勢があればこそ。日本はスクラップ&ビルドの繰り返し。古き良きものが継承されないことは、実に嘆かわしい。新しいものばかりを好む日本人に渇!」。

■みなさんからの質問待ってます!
仕事から家庭、恋愛、そしてファッション・・・・・・etc.、日ごろみなさんが抱える悩み、疑問など、相談したいことをなんでも教えてください。マエストロ赤峰がズバッと解決いたします!インターネットの場合はwww.oceans-ilm.comへアクセスのうえ、「NEWS」から投稿してください。郵送の場合はハガキに @相談したいこと A氏名(ふりがな) B住所 C年齢 D職業 E電話番号 Fメールアドレス G赤峰連載への感想 を明記し、〒162-0825東京都新宿区神楽坂6-42 喜多川ビル8F オーシャンズ編集部「オトナ相談室係」までお送りください。質問が採用された方の中から、抽選で毎月1名様にマエストロ直筆の“ありがた語録”色紙をプレゼント!

Posted by インコントロ STAFF at 00時00分   コメント ( 0 )

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朝日新聞be on Saturday " 赤峰幸生の男の流儀 「ハレの場には演出を」 2013年12月14日(土)掲載"

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